今回は、シミュレーションをした。学生はいくつかのチームに分かれる。湖に隣接した工場を経営していて、湖の水を使いそれを排水として流すか、浄化処理をするかの決断を下す。これを何回か繰り返す。前者だと利益が増すが、湖が汚染される、後者だと利益は増さないが、湖の汚染が改善する。湖が極度に汚染されると、全てのチームに大きな損失が発生する。
ルールとして、許可がない限り、他のチームと会話をしてはいけないことになっている。当然ながら、誰もが他人を出し抜こうとした。自分はインド人の医者とチームを組んだ。まあゲームだし、湖がどんなに汚染されようと、自分達だけの利益を追求してやれ、ということで、我々は排水を続けた。フリーライダーになってしまえ、と考えたのである。誰かが怖くなって湖を綺麗にするだろうと。
しかし、ここはMBAだからか、なのかわからないが、出し抜こうとする奴はいっぱいいて、湖はあっという間に過剰汚染になってしまった。途中で2回、他チームと会話をすることが出来る機会があった。そこでは、みんな湖を浄化しようという結論に至った。しかし、やはり結果的に何チームかは他チームを出し抜いて汚染をした。他チームが浄化をしている一方で、自分達だけが利益を追求をしているので、うまく出しぬけたチームは大きな利益を得ることが出来るのである。
ゲーム終了後、教授からのフィードバックがあった。我々は面白いほどに、ゲーム理論に沿った行動をしてしまっていた。各チームが出し抜こうとした結果、各チームが得た利益は、本来得られるべき利益を大きく下回っていたのである。
教授は「なぜ出し抜こうとするのか?」というところから議論を始めた。誰かが「競争に負けてしまうからだ」と言った。「なぜ競争に負けるのか?私は一言も我々は競合他社だなどとは言っていない。」なるほど…我々は知らず知らずの内に、競争というものを叩き込まれている。これには気づかされた。
最終的にこうした体験を通して、The tragady of Commons(コモンズの悲劇)という概念を学ぶものであったが、大変面白かった。結局、このシミュレーションでは、全てのチームが毎回浄化処理をすると、全体利益が最大化される仕組みになっているらしい。実際のビジネスでは如何に騙すか、出し抜くか、が決定打となる場合がたくさんあるが、そうしたことを当たり前と思うことから離れて、本来あるべき姿、というものを再認識出来た。
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