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2009年9月7日月曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ニューヨーク③ 最終日、そして帰国~

アメリカ滞在最終日は、夕方の飛行機でJFK空港からジュネーブに向かうことになっていた。特にどこに行くという目的ももはやなかったので、朝食と取ろうとうろうろホテルを出て歩いていた。すると美味しそうに屋台のご飯を食べている人達がいた。その匂いにあっという間に吸い込まれてしまった。カレーの様でカレーでないライスだったが、これも美味しい!NYはレストランも美味しいが、こうした屋台の飯も実は美味しいことを知った。

屋台メシ!

色々な種類の屋台がある

その後、未だ日本に進出をしていないAbecrombie & Fitchの本店に行くことにした。が、長蛇の列が出来ている。ここまで人気があるとは知らなかった。ボストンに行った時にここで何枚か服を買っておいたので、さすがに並んでまで入る気力はなかった。

「アバクロ」は大盛況である

NY最後の食事は結局、安い中華料理屋で済ますことになった。味は際だっていないけど、値段が安く、ボリューム満点だったので良しとしよう。

これでNYは終わりである。相変わらず暑苦しい地下鉄に乗って、JFK空港まで移動した。次いつ来ることになるかわからないが、刺激的でとても楽しい街なので、是非また行きたいと思う。

NYからはジュネーブへ6時間くらいかけて飛んだ。ロンドン行きのフライトまで時間があったので、街の中心まで足を運んでみた。相変わらず綺麗な街だった。NY程の刺激はないが、静かで空気がとても済んでいた。眼を閉じると眠ってしまいそうな気候であった。

ロンドンシティ空港に着くと、マドリッド行きの飛行機の出発までは2時間30分くらいしかないことに気づいた。マドリッド行きの飛行機はスタンステッド空港から出るので、トランジットに時間がかかる。シティ空港からスタンステッド空港までは直通バスがないのである。電車の乗り換えに戸惑い、いよいよ飛行機を逃すか!?というぎりぎりのところまで来たが、Stansted Expressというやたらと途中駅を飛ばす電車に乗ることが出来たので、何とか間に合った。

例によって、最後は大嫌いなRyanairだが、あまりに眠くてずっと寝ていた。そして飛行機は、ついにマドリッドに帰ってきた。蒸し暑い、そして何もないマドリッドに。

この夏休みの旅行には本当に満足した。ずっと行きたかった場所に行けたし、美味い物も食べることが出来た。アメリカとヨーロッパの違いも感じることが出来た。この二つは全然違う。既に痛感していることだが、同じヨーロッパの中でも国々はまるで違う。これからは「欧米」という括りで何かを表現することは止めようと思う。括れないからだ。ヨーロッパ、という括りも本当は出来ないことだと思う。

世界は本当に、多様である。一つの価値観で括るなんて出来るわけがない、そんなに単純ではないのである、ということを、この年になって初めて身をもって実感する今日この頃である。

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ボストン~

翌日はSOHOを回った。日曜日でも関係なく、活況を呈している。ブロードウェイをちょっと外れると、個性的な店も数多く軒を連ねていた。ファッションにあまり詳しくはないが、やっぱりヨーロッパの方がオシャレかなあ…まあ個人の感じ方次第だと思う。この日の夜はベトナム料理屋に行った。Saigon Grillというところである。ここもIEの同期がおしえてくれたレストランで、安めなのにとてもおいしかった。店内は大盛況であった。

さて、翌日はまたもチャイナタウンからバスを使いボストンへ。この日に使ったバス会社はかなり伝統があるようで、ワシントンDCに行ったときに使った会社よりいい感じであった。トイレは相変わらず汚かったが。それでも最終的に、予定通りの4時間でボストンに到着した。

ボストンで宿泊したホテルは、ハーバード大学に近かったので、最初にハーバード大学の一部を見学した。ホテルからチャールズ河を渡る前に、ハーバードビジネススクールがあった。圧倒的に綺麗な建物だった。なるほど、世界中のアプリカントを魅了するだけのことはある。日本にいた時に想像していた、海外の大学像というものとぴったり一致した。世界一を標榜する組織は、中身だけでなく、外見も最高のものでなくてはならない、という考えがあるのかもしれない。昨今の金融危機でビジネススクールに対し、いろんな批判が出ている。勉強はどんな施設でも出来る、という声ももちろんあると思う。が、やるからには、中身も、施設も、徹底的に最高のものを用意する、という姿勢はすごいと思う。それが出来るだけの寄付があるということなんだろうけれど、それを惜しみなく学生のために使用する、というのは当たり前のことである。だが、その他のハーバード大学の建物は普通だったようである。ハーバードビジネススクールだけが、際だってすごい施設を持っているということなのだろう。

チャールズ河を渡り、ハーバードスクエアからボストン中心地まで地下鉄で移動した。NYの地下鉄よりはるかに綺麗だし、明るい感じがする。整然としたところだなあ、と思った。街の中心に着くと、本屋の中にあるカフェに入った。チャイティーを飲んでいると、階下に大学特集コーナーのような一角があった。そういえば、ウォールストリート周辺の本屋でもそうであったのだが、アメリカでは大学紹介や大学ランキングの本がやたらと売っていることに気付いた。日本でもこうした本は売ってはいるが、店頭にどかーんと置いてあるだろうか?考えてみれば、NYでもボストンでも電車の車両に大学の広告がやたらと多かった。しかも特にMBA等のビジネス系学位について。NYでは「こんな時代だからこそ、一つの学位があなたの未来を大きく変えます」みたいなキャッチフレーズがあった。日本ではまず変わらないだろうが、こっちではそれほど大きく変わるのだろうか?見る者を焦らす効果があるのかもしれない。「えー?俺もやらないと置いていかれるー!!」という焦燥感を与えるための。

夜は、ショッピングモールにあるレストランに適当に入った。ボストンといえば、クラムチャウダーと海鮮だろう!というステレオタイプに乗っかり、クラムチャウダー、牡蠣、そしてロブスターを注文した。これは美味い!適当に入ったレストランだったが、とても美味しい。食べ物美味しいじゃん、アメリカ!スペインの不味い料理のせいで味覚が狂い、相対的に美味しい、ということではなく、純粋に美味しいと感じた。

美味いロブスター

翌日は、ホテルから荷物をそのまま持って、昨日通り過ぎただけだったハーバードスクエアに来た。ハーバードヤードに行くと、多くの観光客でごった返していた。これほど多くの観光客が訪れる大学は世界広しと言えどもないのではないだろうか。小さな子供を連れた家族も結構いて、「お前も将来ここに来るんだぞ」といった話をしているんだろう。ハーバードスクエア自体にもレストラン等の色々な店があって、いい雰囲気を醸し出していた。昼食をとり(今回はそこまで美味しくなかった…)、地下鉄に乗ってバスターミナルへ戻った。

ハーバードヤード

バスは今回も予定通り4時間で、NYに戻ってきた。マンハッタン島に入る直前、夕焼けの中に自由の女神が少しだけ見えた。夕食はホテルに置いてあったザガットサーベイを参考にした。NYの韓国料理屋の中で、最も味の点数が高いレストラン、HanGawi(http://www.hangawirestaurant.com/)に行った。ヘルシーなことを売りにしているらしく、ユッケジャンを注文したが、肉が一切入っていないのが残念だったが、味はとても美味しかった。

夕焼けのウォール街

明日はいよいよNY最後の日である。さすがにこの大都市滞在にも少し疲れてきた。

2009年9月6日日曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ワシントンDC~

次の朝、ワシントンDCに向かうため、チャイナタウンに向かった。ここ、チャイナタウンからは、近郊都市への格安バスが走っている。ワシントンDCへは、一人往復で35ドルという安さである。

バスには中国系の客が多い。バスはところどころイスのスプリングが壊れていたり、ゴミが転がっていたり、トイレが落書きだらけでしかも水が流れなかったりと、どこか別の国に来たかのような錯覚に陥るくらいであったが、安いのだから仕方がない。

サブウェイのサンドイッチをかじりながら、外の景色を眺めていた。ところどころで途中の街の風景が見える。フィラデルフィアやボルチモアといった大都市も見ることが出来た。これらの都市には遠くからでもわかるくらいの大きなビルが必ずある。アメリカという国は大きいんだな、ということを感じた。一方で、ハイウェイの周辺に建っている家々は、かなり古かったり、暗い雰囲気を醸し出していたりと、富と貧困が同時に存在していることも目の当たりにすることとなった。

やがて5時間くらいバスに乗って、ワシントンDCに着いた。ワシントンDCは首都でありながら、行政地区をすこし離れると治安がよくない、ということを聞いていたが、バスから眺める景色からなんとなくそれは伺えた。首都はその国の顔と言えるであろうが、世界で最も強大な権力を持つこの国の首都が、こんな隙をみせているなんて。

ワシントンDCは13年前に一度来たことがある。高校の修学旅行の時。あれが初めての海外旅行だった。随分昔のことなので、ほとんど記憶になく、今回こうしてやってきても、「ああここね、あったあった、覚えているよ!」というような感覚はまるでない。その意味では、来たことのない街に来たような気分だった。

ワシントンDCでは、オバマ大統領がまるでアイドル扱いだった。等身大のオバマ大統領ボードが店の前に置いてあったり、オバマ大統領グッズがたくさん売っている。実際、ワシントンDCの人種構成は、アフリカ系アメリカ人が最も多く、50%を超えているらしいので、こうした人口構成がよりオバマ人気に拍車をかけているのかもしれない。

アイドル大統領

さて、最初に行ったのは、恥ずかしいくらいベタにホワイトハウスである。修学旅行に行った時は中を見学出来たのだが、今は警備が厳重で、日本大使館を通じて予約をしないと中に入れないらしい。今だったら昔とは違った観点でみることが出来たろうから、少し残念だった。既に夕方だったので、行政区をうろうろすることにした。サブウェイのサンドイッチ以来何も食べていなかったのだが、夕飯時も近いということで、空腹を埋めるため、Ben&Jerryでアイスクリームを食べることにした。Ben&JerryはOld post office pavilionの中にあった。このため、再び手荷物検査を受けることに。Ben & Jerryを食べるのも楽ではない。中にあったBen & Jerryは、人類を内部から破壊する、もう一つの兵器の販売場所であった。結構おいしいけど。

もう一つの兵器(極小)

その後、色んな彫刻のある公園で、夕方のジャズフェスティバルがやっていたので、そこに行ってみた。みんな噴水を囲んで座り、ジャズの生演奏を聴きながら、サングリアやビールを飲んでゆっくり時を過ごしていた。西日が異常に暑かったことと、サングリアが全く甘くなかったのが残念だったが、まあいい時間だったと思う。

連邦議会にかかる虹

翌日は午後3時のバスでNYに戻ることになっていた。なので、行く場所をスミソニアン博物館に絞った。ここも高校時代に来たことがあるのだが、全く記憶にない。輝かしい(?)歴史を持つ宇宙開発や軍隊に関わる物品が展示されていた。核兵器についても説明があった。"Ultimate Weapon"と書いてある。よく見ると、ロッキード・マーティンやボーイングといった兵器製造会社の名前があるのだが、これらの企業がスポンサーになっているのかもしれない。軍産複合体を思い出した。一方、プラネタリウムを利用したブラックホールの秘密についてのアトラクション等々、興味深いものもあった。「何だよー、プラネタリウムかよー」と最初はがっかりしていたのだが、この点はさすがアメリカという感じで、素晴らしい映像技術でもって、楽しませてくれた。

チャイナタウンで、安いがあんまり美味しくない昼食をとった後、NY行きのバスに乗り込んだ。意外にもバスが埋め尽くされる程の乗客がいたが、乗客のほとんどはアフリカ系アメリカ人だった。発車ぎりぎりに行った我々は、地獄のトイレのすぐ近くに座る羽目になった。おまけにこのトイレ、ドアが閉まらない。バスが曲がる度に、ギーと音を立て、ドアが開き、中の落書きと便器が見える。ものすごいストレスである。最終的にコインを使って外側から鍵をかけるという荒業でこれを乗り切ったのだが、乗客がトイレを使用する度に、自分がコインでトイレを開けてあげなくてはならない。トイレの門番状態になってしまった。

バスは途中、フィラデルフィアに立ち寄った。ただでさえ治安の悪さで有名なこの都市であるが、丁度黒くどんよりとした雲が街を覆っていて、さながら暗黒都市のように見えた。やがてものすごい雨が降り出した。しかしチャイナバスの運転手は極力スピードを出して運転をするので、相当怖かった。

5時間バスに乗り、NYに着いた。NYで夕食を取れる時間は実はあまりないので、この日も学校の友達のおススメのレストランに行った。Smith & Wollenskyというステーキハウス(http://www.smithandwollenskysteakhouses.com/index.htm)。中に入ってから気付いたのだが、みんな襟付きの服を着ている…。「え?こんなところなの?あのやろー…こんなところ紹介しやがって…」友達は、NYで弁護士をやっていたから、たくさん金を持っているのだろう。でも我々は違う…スペインでは毎日の食費を二人で5ユーロ程度に抑えて生きているのだ…。結局Tシャツに短パンのまま、それでも荷物をクロークに預けてしまって引き返しづらい。「ええい、昨晩は嫁と大喧嘩をして、夕飯を何も食べていないので、これで相殺だ!」と言い聞かせ、意を決し、ここで食事をすることにした。まあ…味はそこそこかな…そこまで強いインパクトはなかったかな…サイズ以外は…。

肉!!

2009年9月4日金曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ニューヨーク② 有名スポット巡り~

学校も第四タームが始まってしまったので、ブログ更新頻度が再び落ちてしまったが、なんとか踏みとどまりたい。

ニューヨーク2日目は、マンハッタン島を観光するという、至って普通の過ごし方。それでも朝から自然と体が「起きなければ」という信号を発したのか、すんなりと起きることが出来た。

まずはタイムズスクエアを見なければならない。テレビで何回もみたあの場所に行かなくては、NYに来たなんて言えないじゃないか!とミーハー心丸出しであった。その途中で、朝飯を食べる必要があることから、カフェに入った。カフェといっても、スペインにあるような、ちんたら食べ物やコーヒーを出すようなところではなく、日本的なシステマティックに機能したカフェである。ここでフードを調理している人達は皆、ラテンアメリカ系の人達だったのだが、驚くほどに手際がいい!オペレーションが圧倒的に早いし、同時に複数の作業をこなしている…!「…やればできるんじゃん…」こういう心持ちを抑えることが出来なかった…。スペインでのラテンアメリカ系の人達の仕事の遅さは、もはや伝説の域であることは今さら言うまでもないのだが、ここNYでは違った。そこにはきっと、彼らをそこまで駆り立てるあまりに厳しい環境があるからなのだろう。使えなければ即座にクビ、この速さでオペレーションを回さなければ黒字が出ない…等など事情があるのだと思う。さて、味の方だが、美味しい。ハムソーセージベーグルを食べたのだが、これは納得。消費者の厳しい眼がいつも光るこの街では当然のことなんだと思う。

手際のいいカフェに積まれたパン

朝食を済ませ、いよいよタイムズスクエアへ。おお、TOSHIBAとPanasonicのモニターが一番いいところを占めている!良くテレビに出てくるNASDAQの青い看板がある。そして、ライオンキングがある!同じような光々とした看板は東京に腐るほどあるのだが、ここではちょっとした感動をもってこうした看板をみることが出来た。ピカピカだ…資本主義だ…富める自由だ…

みんなの目に留まる場所

ギラギラのタイムズスクエアを後にして、打って変わって国連本部に向かった。この時はタクシーを使った。珍しく愛想のいいおじさんだった。おじさんはNYのことを色々と話してくれた。NYのタクシー運転手はインド人、パキスタン人やアフリカ系の人が多い。このおじさんはどうやらインド人らしい。やがておじさんと宗教の話題になった。我々は、日本人は無宗教の人もいるんだよ、という話をした。そしたらおじさんは言った。「宗教がないなんて、さみしくないかい?」心の残った言葉だった。そうした感情は、今まで抱いたことのないものだったからだ。外国人にとって宗教はとても大事であることを再認識した。

そうこうしている内に、国連本部に到着した。有名な、先の方が結ばれている拳銃のオブジェがあった。荷物検査を通過して、中に入ると、原爆についての展示コーナーがあった。凄惨な写真がたくさん展示してある。韓国出身の事務総長潘基文の肖像画も展示してある。(潘基文はその後のツアーでも頻出した。)しばらく並んでチケット買い、やがて国連ツアーが始まった。ツアーコンダクターの職員は最初に、「国連の本部はここアメリカにあるけど、国連ではどの国でも平等だ」的なことを言っていたと思う(あまり聞けなかったので自信がない)。確かにそういう断りがないと、さもアメリカがあの原爆の展示を自主的に行っているように来訪者に思われてしまうかもしれないもんな、と思った。実際に爆弾を落っことしたアメリカ人は、今でも戦争早期解決のための正しい行いだったと言っている、というのをテレビで見たことがある。ここだけはしっかり前置きを頼むよ、と職員は言われているのかもしれない。でもいきなりツアーの初めの段階で、特定の国家の名前が常任理事国となっていることが説明された。世界第2位と第3位の経済大国の名前がそこにはない。65年前に戦争で負けてしまったからだろうか。いずれにしても、なぜアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国が常任理事国なのか、ということについての説明は一切なかった。

正面からみると立派なのだが、

実はかなり薄っぺらい

国連を出た後は、コロンビア大学の見学に行った。アメリカの大学というものをみたことがなかったし、何より持ち前のミーハー心が、この知の結集地の見学を駆り立ててならなかったのだ。地下鉄のマップを見て、適当に大学に近そうなところで降りると、そこはハーレム地区であり、ミッドタウンとはガラッと雰囲気が違った。昼間で晴れていたからよかったものの、暗くなってから歩いたら結構怖いかもしれないな、と思った。しばらく歩いていくと、コロンビア大学のキャンパスに着いた。ものすごく綺麗なキャンパスだった。マンハッタン島のような小さい島に、堂々としたキャンパスがそびえ立っていた。こんな素敵なキャンパスで学び、しかもNYの刺激に触れながら暮らすなんて、コロンビア大学の学生は、様々なアドバンテージを享受できるのだろうな、と思った。

コロンビア大学

国連本部、そしてコロンビア大学見学を済ませた時点で、相当腹が減っていた。昼飯は、みんなが口をそろえて行くべきだと勧めてくれたハンバーガー屋に行った。Shake Shack(http://www.shakeshacknyc.com/)である。Madison Square Parkには噂通りの列が。腹が減っていたが、ここまで来たのだから並ばなくては!実はこの時、注文に手違いがあって、一つハンバーガーが入っていなかったのだが、店員は臨機応変に対応してくれた。名店は客を逃がさないか…。さて、味の方は…肉汁がジュワー…おいしいなあ…ああ、本当においしいなあ…(この文章を書きながら、よだれが出てきた。)。

空腹には本当にこたえる行列

いただきます

昼飯を済ませた時には、既に夕方になっていた。だがどうしても見逃せない場所がある。マンハッタン島の南端、Wall Streetである。タクシーに幾度となく乗車拒否されたため、この時は地下鉄を使った。Wall Streetは世界一有名な金融街ということで、想像以上に観光客でごった返していた。思ったより、すごい!という感じの場所ではなかった。ニューヨーク証券取引所があった。アメリカ合衆国の国旗が掲げられている。そしてそこの前では、超有名大学のビジネススクールの学生たちがスーツをびしっと決めて中に入るのを待っているようであった。証券取引所の見学であろうか?…こんな小さな場所で行われる、何ら実態あるものを産まない人間達の営みが、遠い世界の向こうでパン1個を争うような状況を生み出しているなんて、一体どういうことなんだろう?一体世の中はどうなっているんだろう?あの証券取引所の前にいるビジネススクールの学生達は、何を考え、今あそこにいるのだろう?こんな仕組みを変えなければと考えているのか、はたまたこの小さな島で同じをことを繰り返したいのか…?ふと第3者的な立ち位置に立ってこうした疑問が湧いてきた。でもすぐにもう一人の自分が自分に言った。「お前だって同じビジネススクールの学生だろう?」

世界で一番有名な通りなのではなかろうか

うろうろしていると、偶然グラウンド・ゼロに来た。こんなところに飛行機が2機も突っ込んできたのか…。このマンハッタン島で最も高かったビルに飛行機は直撃。傷ついたこの街は、さらに大きなビルをこの地に建てるという。この傷跡を傷跡のまま残しておくこともこの街は許してくれないのか…あるいは、より大きなものを建てることで、アメリカは負けない、ということを示したいのか…。

グラウンド・ゼロ

かなり色々と考えさせられた1日だった。

2009年8月31日月曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ニューヨーク① 到着~

昨晩暗闇に包まれていたCanning Townは朝になって陽が昇ると、全く違う表情を見せていた。こちらの国々は、日中と夜で本当に雰囲気ががらっと変わってしまう。Canning Town駅からLondon City Airportまでの電車には、ビジネスマン旅行客がたくさんいた。さすがビジネスマンのために作られた空港である。実際、出国手続きを済ませた後の空港の中は、インターネットがフリーで使用でき、他の空港に比べて若干高級感があった。

これからロンドン→ジュネーブ→ニューヨークと飛行機に乗るわけだが、今回はSwiss International。この留学生活で最も贅沢な航空会社ということでとても楽しみだった。Swiss InternationalはどうやらAirBusが主たる機体のようであり、またエコノミークラスであっても、ジャンボの場合、一列に席が2、4、2の計8席しかない。このため、横幅に大分余裕があるので大分快適なのである。

ジュネーブでのトランジットの時間はわずか30分程度。大急ぎで乗り換え、飛行機はついにジュネーブを発った。この飛行機を降りたら、次はニューヨークなのだ。ニューヨークなんて日本人にはあまり珍しくないだろうし、結構な数の人間が既に行っていると思う。しかし我々が大いに期待し、ウキウキ気分だった。いくつか理由がある。まず、美味いものを多種、食べられることである。出発前にIEの友達にニューヨークのおいしいレストランについてたくさんの情報をもらった。マドリッドは食べ物が、これでもか、というくらいまずいので、美味しいものに飢えていたのである。ノルウェーのご飯もおいしかったのだが、滞在期間が短いため、わずかしか堪能出来なかった。もう一つの理由として、圧倒的な大都会での刺激である。東京で過ごしてきた自分にとって、欧州の都市はロンドン以外は正直退屈である。のんびり暮らすのもいいが、それだけではやはり辛い。さらにもう一つの理由として、世界中に金融危機を引き起こした本拠地をみたい、という好奇心が挙げられる。

8時間くらい飛んで、飛行機はジョン・F・ケネディ空港に到着した。空港を降りると、本当に様々な人種でごった返していた。この段階で欧州にはない危うい感じとドキドキ感が入り混じった気持ちに包まれた。空港からマンハッタン島には、Air Train JFKと地下鉄を利用することにした。このAir Train JFKは新しいのか綺麗な乗り物であった。遠くの方にうっすらとマンハッタン島の高層ビル群が見える。まるで蜃気楼のようだ。最終的に地下鉄のA lineに乗り換えるため、Howard Beach駅で降りた。何となく暗い雰囲気の駅だった。しばらくすると、噂のニューヨーク地下鉄がやってきた。予想していたより落書きが少ない。乗車客は皆黒人だった。この列車は急行だったので、途中いくつかの駅を通過していったが、それらのプラットホームをみると、圧倒的な汚さで、とても女性一人では立っていられないような雰囲気のものがたくさんあった。やがて地下鉄はマンハッタン島に入り、乗客が増えてきた。我々は34th Street駅で降りた。外に出ると、ニューヨークの街並みが。首が痛くなるほどに高いビルが面白いくらいに並んでいる。空がものすごく狭い。そして暑い。臭気。人、人、人。想像する西洋国とはまるで違う。アジアの大都市のようである。アジア好きの嫁も大喜びだった。

Howard Beach駅

初めてみるエンパイアステートビル

ミッドタウンにあるホテルまでは歩いて行った。ホテルはKorean Streetより一つ下の通りにあった。狭く、暗いホテル。欧州で宿泊してきたゲストハウスとはまるで違う。これもまたニューヨークの現実なんだろう。

この日の夕食は、IEの友達におしえてもらった寿司屋。「Sushi of Gari」というところである(http://www.sushiofgari.com/)。驚愕のうまさだった…間違いなくこんなうまい寿司は東京を発って以来食べていない…いや、東京でも食べたことがあるだろうか。創作寿司なので、純粋な江戸前寿司屋とは違うのだが、文句なしの味である。店員はみんな日本人であったと思う。金を持っていそうな日本人が結構来店していた。確かに、値段はバカ高い…ここまで高いとは知らずに入ってしまったが、後に引けなかった…それに絶対にうまい寿司を食うんだ!とヤケになっていたこともあった。ちなみに二人で20,000円以上…イギリスでは何回か夕食を食べなかったりと、節約しておいたので、まあよしとしよう…。

うますぎる寿司

相当の好印象のニューヨーク1日目がこうして終わった。

夏休み旅行 ~グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国 ヨーク、バース、ブリストル~

湖水地方を夜9時に出発し、ヨークに向かった。電車はランカスター、マンチェスターを経由、そして懐かしのリーズにも停車した。これにはちょっと興奮した。夜中で真っ暗だったので、リーズの様子は全くわからなかったのだが、駅舎をみることはできた。昨年もこの駅からヨークに行ったことを思い出す。まさかその1年後に再びヨークに向かうことになるとは思わなかった。

夜中の1時20分頃ヨークに到着。見覚えのある駅である。そしてゲストハウスへ。ここのゲストハウスは気の利いたところで、翌日はきっちりとした朝ごはんが出た。おかげでとても気持ちよく出発することが出来た。駅に荷物を預けて街中を回る。昨年来たのでもう回り切ってしまったと思っていたのだが、意外に奥が深い街だった。イギリスでは珍しく気持ちの悪い晴天であり、それがヨークの街並みを余計に素敵に映し出していた。相変わらずヨークの寺院は大きく、荘厳であった。

ヨークの街並み

今回も一つの街にゆっくりできる旅ではなく、ヨーク滞在はほんの16時間程度。夕方の電車で今度はバースへ向かった。到着した日はもう夜遅く、その日の宿泊場所へ直行。この日の宿泊先はそう、ユースホステル。この年齢でまだユースホステルか…さすがにこれには大分気持ちが沈んだ。宿泊客は学生みたいなのが多い。ここに楽しみは何もないと、即就寝。

翌日はバースとブリストルの両方を観て回ることになっていた。1日に2都市。両都市は電車で15分くらいの近いところにある故に可能な業である。バースは街自体が世界遺産になっており、大変美しい街並みである。イギリスを鉄道で旅をしていると、何故か建物やその屋根まで暗い色をしていて、どんよりさを助長していたのだが、バースは違う雰囲気を出していた。なんだかフランスみたいだった気がする。次はブリストル。長い坂道に商店が連なっているところがあって、ここはなかなかいい雰囲気を出している。そこでたまたま入ったカフェがおいしいハンバーガーを出してくれたところであり、ますます好印象をもった。ところで、気のせいかもしれないが、ブリストルの人の英語は比較的聞き取りやすかった気がする。


バースの街並み

電撃的に、そして極めて表面的に街を周遊し、またもや夕方の電車で、今度はロンドンに戻った。この日は「Holiday Inn Express」というまあ誰でも知っている安いホテルが宿泊先であった。ところがこのホテルが、Google Mapの示すところに存在しない。Google Mapが示すところは真っ暗なところで、ちょっと奥はかなりやばい雰囲気が漂っている。このホテルがある場所は、Canning Townという駅で、London City Airportに行く際に通過する駅なのであるが、後から調べてみるとこの地域は貧困度合と犯罪率が相当高いらしい。確かに極めて迫力のある場所であった。

Canning Townのちょっと向こうでは、Citiなどの高層ビルが闇夜の中でたくさんの光を照らしていた。どうしようもない現実がそこにあるのだと知った。

2009年8月29日土曜日

夏休み旅行 ~グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国 湖水地方~

翌日の早朝、ユーストン駅から湖水地方の玄関口であるウィンダミアに向かった。ユーストン駅からはVirgin社のVirgin Trainに乗った。綺麗な車両だった。以前キングスクロス駅からリーズに向かった時に使った車両とは違うような…。確かあの時はNational Expressだった。綺麗だからずっとVirgin Trainだったらいいなあと思った。しかし後から気付いたのだがイギリスの鉄道は、様々な鉄道会社が同じ線路と同じプラットホームを使っているようだ。よって、路線によっては全然違う鉄道会社を使うことになる。この後二度とVirgin Trainを使うことはなかった…。

電車はウィンダミアに到着した。さ…寒い。8月ド真ん中だが、もうイギリスは寒いのだ。アイスランドも寒かったけど、イギリスも寒い。さて、ウィンダミアは小店が可愛く並んだ小さな街(村?)だった。お土産屋やカフェが並んでいる。観光客がたくさんいる。すぐに繁華街を一周してしまったので、ウィンダミアからちょっと南下したところにあるボウネスまで徒歩で歩いた。この街から街までの間は、リーズの市街地から学校のフラットまでのバス通りを彷彿とさせるものであり、懐かしい思いに浸ることが出来た。

ボウネスは、ウィンダミアよりも活況を呈していた。湖に面していて、観光用ボートが並んでおり、より多くの観光客で賑わっていた。何だか河口湖か山中湖みたいだった。人慣れした白鳥が、餌を求めて観光客に近づき、観光客は面白がってどんどん餌をあげていた。ここにはピーターラビット博物館がある。大部分の客は日本人のようであり、ご丁寧に日本語ツアーまで用意してあった。中は、かなり充実していて、ディズニーのアトラクションのようである。


余裕で人に近づく白鳥

ボウネスの街並み

次の日、夜9時にヨーク行きの電車に乗ることになっていたので、丸一日湖水地方で過ごすことが出来ることになっていた。とはいっても全く何の予定も立てていなかったので、近隣のケズィック、ケンダルを巡ることにした。ケズィックは…特に何もなかった…街の中心をふらふらした後、マクドナルドに行った。特に変わり映えのないマクドナルドだった。ただ小さな街ではあるが、マクドナルドとか一通りの店が揃っているのはさすがイギリスだと思った。

ケンダルは人口も数万人規模ということで、結構大きな街だった。マクドナルドは当然あるが、その他にもパターゴルフがあったり、無数のアウトドア用品のアウトレットショップがあったり…うむむ、街の規模を表現するのが難しい…。

ケンダルの湖

湖水地方に来る前は、大アイスランドのような大自然をイメージしていた。湖水地方は確かに自然満載なのだが、よりコンパクトにまとまった自然、という感じである。自然と街がちょうどよく調和している感じ。湖はボートやヨットを楽しむ、といった金持ち道楽的な要素を満たすための存在であるようだ。やっぱり、富士五湖のようなイメージだった。

夏休み旅行 ~グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国 ロンドン~

スイス、ノルウェー、そして大アイスランドから帰国し、1週間ほどマドリッドで過ごしたが、再び旅行に出かけた。今度は、グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国とアメリカ合衆国である。

どうでもいいが、グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国という長い名前がどうしてイギリスという4文字になったのかわからない。

マドリッドからロンドンへはお決まりのRyanairを利用した。easyJet同様、大嫌いな航空会社だが、安いので仕方なく使用している。今回到着したのはロンドンスタンステッド空港。ロンドンから大分離れたところにあり、もはや所在地はロンドンではない。宿泊地は今回もゲストハウスである。ここに荷物を置いた後、会社のロンドン店に1年ぶりの挨拶に行った。

会社に着くと、一気に留学気分が吹っ飛び、会社員時代を思い出した(一応今も会社員だけど)。自分の顔が、全く違う表情になったのがよくわかる。ロンドン店の店長としばしの会話。会話の内容は当然忘れかけていた学校の勉強の内容や、仕事の内容となるため、ゆるゆるだった脳みそをフル回転させる必要があった。ところで、海外店のオフィスは本当に広々としていて羨ましい。大きなスペースに大きな机。より権限の強い東京本社がまるで収容所のように感じられた。

その後、東京で隣の部に所属していた先輩と現地社員の方と一緒に日本食レストランに行った。店員がすべて日本人で、本格的な日本食が出てきた。何より驚いたのは店員がきちんとお辞儀をしている!マドリッドに暮らしていて、日本食レストランとは何かをすっかり忘れていた事に気がついた。マドリッドにも日本人レストランがあるが、そのほとんどは中国人が経営しているし、日本人がやっているレストランの場合も、長く競争から離れているためなのか、ひどいクオリティの料理を出す挙句、態度も横柄で極めて不快な思いをしたことがあった。

その後、ロンドンに留学をしている大学時代の後輩と久々に再会、ロンドンを案内してもらった。ロンドンのおいしいケーキ屋、そして韓国料理屋に連れて行ってもらったり、ロンドンのショッピングストリートを案内してもらった。この韓国料理屋もとてもうまかった。彼女はロンドンをとことん楽しんでいるようだったが、自分もやはりロンドンは楽しい街だなあ、とつくづく思った。この留学に来て以降、様々な都市をみてきたが、やはりロンドンは食、芸術、娯楽、ビジネス、何から何まで揃っている大都市なのだということを痛感した。都市にはそれぞれ特徴的な性質があるので、勿論優劣はつけられないのだが、純ドメスティックであり、ずっと東京に住んでいた自分(埼玉と千葉だけど)としては、ロンドンのような大都市が慣れ親しんだ環境なのだと思った。


ゲイショーらしき場所

ロンドン滞在はたったの一日で、次の日は湖水地方に向かう。

2009年8月14日金曜日

夏休み旅行 ~アイスランド~

アイスランドについては一回で、長めに書くことにする。

アイスランドという国は、名前を聞いたことがあったが、それが果たしてどんな国なのか、南極大陸みたいなところなんではないのか、等などかなり間違った想像をしていた。(これは恥ずべきことである…)ところが、昨年のサブプライムローンに端を発した金融危機で、アイスランドが破綻をしかけているということを知り、初めて、きちんと経済活動がなされている国なんだ、ということを知った。欧州は遠いのである。(言い訳)

実際に行ってみて、驚いたことがたくさんあった。まず到着したケフラビーク空港だが、ここはとても立派な空港である。数々の免税店、食事処があり、思ったより多くの人々で賑わっている。後から知ったのだが、ここは北米と欧州の中間地点ということで、重要なハブとして使用されているらしい。

ケフラビーク空港

ケフラビーク空港から首都レイキャビークまではバスで40~50分程度かかる。人口32万人の国の首都なので、ラオスの首都であるビエンチャンくらいのところを想像していたのだが、全く違った。結構な高さのオフィスビルやマンションがある。ケンタッキーが何故か多く、マクドナルドもきちんとある。コンビニやSubwayが一緒になった綺麗なガソリンスタンドやショッピングモールもある。世界4大会計事務所の一つであるKPMGが事務所を構えているのも発見、海外からの投資もかなりあるとは聞いていたが、それは事実なのだ、ということを感じた。

アイスランドは思ったより寒くなかった。首都レイキャビークは北緯64度。調べてみたら、メキシコ湾暖流のおかげで同じ緯度の場所と比べても比較的暖かい場所らしい。長袖は必要であることに変わりはないが、時折半袖で過ごすこともできるくらいである。

アイスランドで特筆すべきは、エネルギー政策であろう。2050年までにエネルギー独立国となることを目指しているだけあって、長期的な視野に立ち、今から様々な取り組みが行われている。既に、石油といった枯渇性エネルギーの輸入は若干あるものの、大部分のエネルギーを再生可能エネルギーでまかなっている。例えば家庭用の電力では地熱発電が大きな役割を果たしている。火山島であるアイスランドの地形を活かしているわけである。また、水素燃料ステーションも一部のガソリンスタンドに設置されている。さらに興味深いのは、アイスランドにはSustainabilityに特化したプロフェッショナルスクールがあることである。国立アイスランド大学とレイキャビーク大学の両校の協力で設立されたReykjavic Energy Graduate School of Sustainable Systemsはその一例である。どこの国もそうだが、特にアイスランドの様な小国にとっては、外交上エネルギー供給問題をカードにされてはたまらないわけである。この国はその問題をこうした国全体を挙げた取り組みで克服しようとしている。国の規模を考えればそのまま日本が真似をすることは難しいかもしれないが、そこには何かしらのヒントがあるのではないかと感じる。

地熱発電所

ここまでアイスランドについていくらか書いてきたが、ここに来た目的はその大自然を満喫することである。スイス、ノルウェーと既に自然を満喫してきたのだが、このアイスランドには何か違ったものがあるのではないか、という期待を抱いてやってきたのだ。

初日、南アイスランドの代表的自然スポットであるゴールデンサークルツアーに参加。最初はグトルフォスの滝。アイスランドにはいくつか滝があるし、フロム鉄道でも観たのだが、今回のものが一番迫力のある滝であった。近くによるとものすごい水しぶきでカメラがびしょびしょになってしまう。その次は、間欠泉。ストロックール間欠泉。5分から10分くらいの間隔で、熱湯が地面から噴き出すのである。観光客は「おお、そろそろ噴き出すぞ」とざわめき、いざ熱湯が噴射されると「おおー!」と歓声をあげる。みんな一回では飽き足らず、同じ場所に立ち、何回も熱湯が噴き出す瞬間を見たがっていた。最後は、シングヴェトリル国立公園。ここは世界遺産に指定されており、北アメリカ大陸プレートとユーラシア大陸プレート間の割れ目が見える。それを聞いた時、何だかすごいところに来てしまったなあ、と深く感じ入った。さらにここは、世界最古の議会があった場所とも言われていて、人間の歴史にとっても重要な場所らしい。

グトルフォスの滝

ストロックール間欠泉

シングヴェトリル国立公園

二日目は、アイスランド第二の都市、アークレイリに向かった。ここでは最初にゴーザフォスの滝を観た。また滝。でもこれもまたすごい迫力。こっちは滝がいちいちすごい。だがその後のプセウドクレーターというところが見どころであろう。いくつものクレーターが集中している場所である。クレーターをみていると、何だがもうそこは地球ではないような気分になってきた。その後に行ったミーヴァートン湖湖畔。ここはいつナメック星人が出てくるかわからないような雰囲気である。向こうの方からフリーザがやってこないか心配になるくらいだ。その後はグリョウタギャウという洞窟温泉。地球の割れ目のそこから温泉が湧いている、何やら神秘的な光景であった。長い1日の最後は、ナウマファットル。茶色いはげ山のふもとですさまじい勢いで蒸気が噴き出している。硫黄のにおいがかなりきつい場所である。噴き出している蒸気の中に入りたい衝動を抑えきれずに、入って行ったら、他の外国人観光客にシラけた眼で見られてしまった…。ところで、この二日目は面白いことが起こった。帰りのバスの休憩所で、イスラエル人の女性とたまたま席が一緒になった。彼女はイスラエル、そして自分の家族の話をし、自分の娘は今軍隊で兵役中であるとのことだった。イスラエルは女性にも兵役の義務がある。彼女はイスラエルでの緊張した日々を克明に語った。すると、バスで一緒だった別の観光客が話に割って入ってきた。政治に関心があるらしい。彼らはセルビア人とオランダ人だった。さらにイスラエル人女性の友達のアイスランド人も入ってきた。これに日本人の我々を加えて、あっという間に国際政治問題ディスカッションが始まってしまった。日本の政治についてもかなり知識が薄い自分なので、欧州や中東の政治問題はよくわからない…恥ずかしいことだが…。でも逆に彼らもアジア情勢にそれほど詳しいようではないので、そこで議論に入ることが出来たのだが…。たとえ詳細でなくとも、基本的な世界政治情勢は勉強しておかなくては…ということを改めて痛感させられた。というのも、MBAコースにに在籍していて、たとえ専門性はあるにせよビジネス以外のこと、例えば政治などにもきちんとアンテナを張っていなければならないと思い知っていたのだ…。いずれにしても夏休みでボケボケになっていた自分には大変良い刺激になった。


アイスランド第二の都市 アークレイリ

ゴーザフォスの滝

クレーター。べジータのポッドが着地した跡のようである。

ミーヴァートン湖湖畔
むこうからでっけえ気がやってくっぞ!!

洞窟温泉

今度は妖怪道中記

三日目を一番楽しみにしていた。そう、念願のスノーモービルに初挑戦!こんな真夏であるが、さすがにアイスランドの山の上には1年中雪がある。700年前の氷が依然として残っているような場所なのである。山の急斜面を走るみたこともない乗り物にのり、スノーモービルのある場所へ。幸か不幸かものすごい吹雪の日で、かなり迫力のある展開になっていた。ツアー客全員が、宇宙服のような出で立ちをしている。いざ出発、というところで、原付に慣れていた自分は、直前にアクセルの方法を教えてもらったにも関わらず、ハンドルを何度もひねってしまうという始末であり、インストラクターは少し呆れていたようだ。ところで、スノーモービルというものは、思ったように動くものだと思っていたのだが、それは大きな間違いであった。スロープに足を取られるのは勿論のこと、激しい横風のためにすぐにバランスが崩れてしまう。なので体全体を使って体重移動をしなければならない、かなりしんどい乗り物であった。吹雪というかヒョウが降っていて、これが顔面をマシンガンみたいに打つので痛くてしょうがないし、眼をあけることもできない。しかし悪天候のせいでほとんど前が見えないので、前を進むスノーモービルのバックライトを見失ってはなるまいと、スピードを緩めるわけにもいかない。色んな事を同時に考え、いろんな動作を同時にしなければならない。しばらくすると、前の方でスノーモービルがひっくり返っている。誰かが横転したんだろう。無理もない、おそらく日本だったらこの天候だったら間違いなくツアーは中止だろう。しかしここでは実行するのである。ひっくり返ったツアー客の体制が整うまで、全てのツアー客は隊列を成して吹雪の中泊まっていた。すると嫁が吹雪の向こうに何かを見つけた。「…あれ狼じゃない?」え!?確かに何か動物のような黒い影がこちらを伺っている…かなりの数のようだが…バスから眺める穏やかな牛や、羊、ヤギとはどうみても違うようだ…。キツネだと信じたかった。が、オオカミは賢いので、様子を伺うというではないか…。ちょっと、早く進んでくれませんか、インストラクターさん…?緊迫した状態はしばらく続いたが、なんとか黒い影がこちらに近づいてくる前にツアー隊は出発することが出来た。守られていない環境でのツアーということで、かなりエキサイティングだったが、予想をはるかに上回る素晴らしい経験だった。


はるか山奥の雪原に向かう

悪天候の中きっちりと並べられたスノーモービル

急がねば置いていかれてしまう

四日目、この日の午前中はホエールウォッチングに行った。チケットカウンターで酔い止めをもらい、船に乗り込む。船が港を出るとすぐに、パフィンという鳥が集まっている小島に着いた。このパフィンはアイスランドの名物的な鳥であり、たれ目のちょっと変わった顔をしており、くちばしにも特徴がある。クジラはどうせ見られないだろうと諦めていたので、パフィンに集中してみていた。そのうち、船はクジラの出現しそうな場所に海上停泊した。クジラを発見すると、アナウンスされる。「12時の方向を見てください」「1時と2時の間で約60メートル先です!」わかるかと!!どうやって海上で60メートルを見極めるのかと!ただでさえクジラは海とほとんど同じ色をしている上に、波があるので極めて分かりにくいのだ。どうやらアナウンスによると、クジラは何度か海上に姿を現したらしい。アナウンスの度に、他の客みんなが息をのんで海上を凝視する。船上は沈黙に包まれる…そして…ついに見えた!背びれだけ、確かにクジラが見えた!多分5回くらいクジラをみることが出来たと思う。全て背びれだけだけど…。それでも初めから期待していなかったので、とても満足できた。

パフィン(注:自分で撮影したものではありません)

アイスランド最後の目的地は、ブルーラグーンという温水プールみたいな露天風呂である。多くの環境客が、ここで旅の疲れを癒し、そのまま空港に向かい帰路に発つ。我々は一旦レイキャビークに戻ることになっていたのだが。この時は雨が降っていて、外はとにかく寒かった。だから、温泉にはいってゆっくり体を温めたい…つ…冷たい!場所によっては、かなりぬるくて、外の寒さを防ぎきれない!おまけに何故か地面がぬるぬるしていた気持ちが悪い…。このぬるぬるは何なのか、怖くて手にとってみることは出来なかった。ここでは、真っ白な泥が置いてあって、これを体に塗ると保湿成分やら何やらで大変体に良いらしく、みんなこぞって体に塗っていた。乾くとパックみたいになるので、おばけみたいなおばちゃんが結構いた。西洋人にとってはこうした風呂は珍しいかもしれないが、日本人にとっては日本の温泉の方がいいと思う。ああ、日本の温泉でじっくり温まりたい。

こうして、アイスランドでの全日程を終了した。とても満足しており、自分の中でアイスランドは大のお気に入りになった。その偉大さ故、今ではアイスランド、そして首都レイキャビークのことを「大アイスランド」「大レイキャビーク」と呼んでいる。

大レイキャビークの歩道

翌日、大レイキャビークを後にし、トランジットのためロンドンへ。時間があったので5時間くらいロンドンをふらふらした後、マドリッドに戻った。マドリッドは暑い…そして…人々が明るい…太陽がある!

2009年8月12日水曜日

夏休み旅行 ~ノルウェー ソグネフィヨルド、ベルゲン~

次の日は、朝からノルウェー国鉄で最も人気のあるといわれるベルゲン急行に乗った。確かに車内はとても綺麗であり、快適であった。何より良かったのが、車窓から眺める景色である。自然といえば、まさにこれ、というような景色がすぐそこにある。この電車で、ミュルダール駅というところまで行った。

ベルゲン急行


ベルゲン急行の車窓から

このミュルダール駅からは、これまた旅行者に大人気のフロム鉄道に乗った。これも雑誌Titleで発見して、前から乗りたかった電車だったのだ。ミュルダール駅は標高1000メートル近いところにあるのだが、フロム鉄道終点フロムは海抜2メートルのところにある。つまりこのフロム鉄道は山を下っていく電車なのである。途中には、ものすごい滝があり、その滝のそばに小屋があって、金髪の女性が音樂に合わせて出てくるというパフォーマンス付きである。ただし、そのパフォーマンスが何なのかはよくわからなかった。というか、みんな滝に夢中で誰もみていなかった気がする。

フロム鉄道が5分ほど停車する滝

フロム鉄道

フロム駅に着くと、今度は船に乗っていよいよフィヨルドを観ることになる。ノルウェーにはいくつものフィヨルドがあり、それぞれ特徴が違うのだが、自分達は、最も規模が大きく、オスロとベルゲンの間にあり移動しながらみることが出来るソグネフィヨルドに行くことにした。船を出ると、風が強くてものすごく寒いのだが、でこぼこになった谷をみることが出来た。ただ、横から見てもあんまり実感がなく、フィヨルドというものはこういうものなのか、という感じだった。他のフィヨルドに行けば、また違ったものが観られたかもしれない。

でもこの写真からはフィヨルドっぽい風景がうかがえる

5時間の航海を終え、船はノルウェー第二の都市、ベルゲンに到着した。ベルゲンに対しては特に何も調べていなかったのだが、思いもよらず面白い街であることに気付いた。港には、世界遺産に登録されているカラフルな倉庫群であるブリッゲンがある。木造で今にも崩れそうな倉庫なのだが、大変趣がある。ベルゲンで驚いたのは、このブリッゲンの中にあるレストラン。夜遅くで、空いているレストランが少なく、高そうだが仕方なく入ったのだが、ここのサーモンとカニが絶品!こんなの今まで食べたことがない。海の幸に対する価値観が変わった。(http://www.tokokker.no/tokokker.aspx)

ブリッゲンの一角

さて、ここでもゲストハウス。ここはノルウェーで最も評価の高いゲストハウスらしい。もちろんバスルーム・トイレは共同。部屋は別に悪くないのだが、泊まっている客層にクソガキが多いので、夜大騒ぎをしていた。時間をわきまえず壁をどんどん叩いている。結局、最後にものすごい音がして、その後静まった。思いっきり壁に頭をぶつけて死んでしまったのかもしれない…そう思うほどに急に静かになってしまった。


暗く古いゲストハウスのエレベーター

ほとんど眠ることが出来ないベルゲンであったが、ここはかなり興味をそそられた街。オスロ同様に、あと一日は滞在したかった。

次はいよいよアイスランド。これまたおしゃれなベルゲン空港からオスロ経由で、首都レイキャビークに向かう。

木目調のベルゲン空港