ニューヨーク2日目は、マンハッタン島を観光するという、至って普通の過ごし方。それでも朝から自然と体が「起きなければ」という信号を発したのか、すんなりと起きることが出来た。
まずはタイムズスクエアを見なければならない。テレビで何回もみたあの場所に行かなくては、NYに来たなんて言えないじゃないか!とミーハー心丸出しであった。その途中で、朝飯を食べる必要があることから、カフェに入った。カフェといっても、スペインにあるような、ちんたら食べ物やコーヒーを出すようなところではなく、日本的なシステマティックに機能したカフェである。ここでフードを調理している人達は皆、ラテンアメリカ系の人達だったのだが、驚くほどに手際がいい!オペレーションが圧倒的に早いし、同時に複数の作業をこなしている…!「…やればできるんじゃん…」こういう心持ちを抑えることが出来なかった…。スペインでのラテンアメリカ系の人達の仕事の遅さは、もはや伝説の域であることは今さら言うまでもないのだが、ここNYでは違った。そこにはきっと、彼らをそこまで駆り立てるあまりに厳しい環境があるからなのだろう。使えなければ即座にクビ、この速さでオペレーションを回さなければ黒字が出ない…等など事情があるのだと思う。さて、味の方だが、美味しい。ハムソーセージベーグルを食べたのだが、これは納得。消費者の厳しい眼がいつも光るこの街では当然のことなんだと思う。
朝食を済ませ、いよいよタイムズスクエアへ。おお、TOSHIBAとPanasonicのモニターが一番いいところを占めている!良くテレビに出てくるNASDAQの青い看板がある。そして、ライオンキングがある!同じような光々とした看板は東京に腐るほどあるのだが、ここではちょっとした感動をもってこうした看板をみることが出来た。ピカピカだ…資本主義だ…富める自由だ…
ギラギラのタイムズスクエアを後にして、打って変わって国連本部に向かった。この時はタクシーを使った。珍しく愛想のいいおじさんだった。おじさんはNYのことを色々と話してくれた。NYのタクシー運転手はインド人、パキスタン人やアフリカ系の人が多い。このおじさんはどうやらインド人らしい。やがておじさんと宗教の話題になった。我々は、日本人は無宗教の人もいるんだよ、という話をした。そしたらおじさんは言った。「宗教がないなんて、さみしくないかい?」心の残った言葉だった。そうした感情は、今まで抱いたことのないものだったからだ。外国人にとって宗教はとても大事であることを再認識した。
そうこうしている内に、国連本部に到着した。有名な、先の方が結ばれている拳銃のオブジェがあった。荷物検査を通過して、中に入ると、原爆についての展示コーナーがあった。凄惨な写真がたくさん展示してある。韓国出身の事務総長潘基文の肖像画も展示してある。(潘基文はその後のツアーでも頻出した。)しばらく並んでチケット買い、やがて国連ツアーが始まった。ツアーコンダクターの職員は最初に、「国連の本部はここアメリカにあるけど、国連ではどの国でも平等だ」的なことを言っていたと思う(あまり聞けなかったので自信がない)。確かにそういう断りがないと、さもアメリカがあの原爆の展示を自主的に行っているように来訪者に思われてしまうかもしれないもんな、と思った。実際に爆弾を落っことしたアメリカ人は、今でも戦争早期解決のための正しい行いだったと言っている、というのをテレビで見たことがある。ここだけはしっかり前置きを頼むよ、と職員は言われているのかもしれない。でもいきなりツアーの初めの段階で、特定の国家の名前が常任理事国となっていることが説明された。世界第2位と第3位の経済大国の名前がそこにはない。65年前に戦争で負けてしまったからだろうか。いずれにしても、なぜアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国が常任理事国なのか、ということについての説明は一切なかった。
国連を出た後は、コロンビア大学の見学に行った。アメリカの大学というものをみたことがなかったし、何より持ち前のミーハー心が、この知の結集地の見学を駆り立ててならなかったのだ。地下鉄のマップを見て、適当に大学に近そうなところで降りると、そこはハーレム地区であり、ミッドタウンとはガラッと雰囲気が違った。昼間で晴れていたからよかったものの、暗くなってから歩いたら結構怖いかもしれないな、と思った。しばらく歩いていくと、コロンビア大学のキャンパスに着いた。ものすごく綺麗なキャンパスだった。マンハッタン島のような小さい島に、堂々としたキャンパスがそびえ立っていた。こんな素敵なキャンパスで学び、しかもNYの刺激に触れながら暮らすなんて、コロンビア大学の学生は、様々なアドバンテージを享受できるのだろうな、と思った。
国連本部、そしてコロンビア大学見学を済ませた時点で、相当腹が減っていた。昼飯は、みんなが口をそろえて行くべきだと勧めてくれたハンバーガー屋に行った。Shake Shack(http://www.shakeshacknyc.com/)である。Madison Square Parkには噂通りの列が。腹が減っていたが、ここまで来たのだから並ばなくては!実はこの時、注文に手違いがあって、一つハンバーガーが入っていなかったのだが、店員は臨機応変に対応してくれた。名店は客を逃がさないか…。さて、味の方は…肉汁がジュワー…おいしいなあ…ああ、本当においしいなあ…(この文章を書きながら、よだれが出てきた。)。
昼飯を済ませた時には、既に夕方になっていた。だがどうしても見逃せない場所がある。マンハッタン島の南端、Wall Streetである。タクシーに幾度となく乗車拒否されたため、この時は地下鉄を使った。Wall Streetは世界一有名な金融街ということで、想像以上に観光客でごった返していた。思ったより、すごい!という感じの場所ではなかった。ニューヨーク証券取引所があった。アメリカ合衆国の国旗が掲げられている。そしてそこの前では、超有名大学のビジネススクールの学生たちがスーツをびしっと決めて中に入るのを待っているようであった。証券取引所の見学であろうか?…こんな小さな場所で行われる、何ら実態あるものを産まない人間達の営みが、遠い世界の向こうでパン1個を争うような状況を生み出しているなんて、一体どういうことなんだろう?一体世の中はどうなっているんだろう?あの証券取引所の前にいるビジネススクールの学生達は、何を考え、今あそこにいるのだろう?こんな仕組みを変えなければと考えているのか、はたまたこの小さな島で同じをことを繰り返したいのか…?ふと第3者的な立ち位置に立ってこうした疑問が湧いてきた。でもすぐにもう一人の自分が自分に言った。「お前だって同じビジネススクールの学生だろう?」
世界で一番有名な通りなのではなかろうか
うろうろしていると、偶然グラウンド・ゼロに来た。こんなところに飛行機が2機も突っ込んできたのか…。このマンハッタン島で最も高かったビルに飛行機は直撃。傷ついたこの街は、さらに大きなビルをこの地に建てるという。この傷跡を傷跡のまま残しておくこともこの街は許してくれないのか…あるいは、より大きなものを建てることで、アメリカは負けない、ということを示したいのか…。
かなり色々と考えさせられた1日だった。
0 コメント:
コメントを投稿