2009年9月30日水曜日

Venture Labの定例ミーティング

Venture Labは一生懸命やるチームと、そうでもないチームの2パターンあるらしいのだが、自分のチームは幸か不幸か、前者である。かなりきっちりとスケジュールを決め、タスクを割り振り、毎回毎回進捗状況をきちんと報告するなど、大分生産的な展開となっている。

だが、今日はグループメートのスイス人が珍しく取り乱し気味で、イラついていた。普段の彼はとても温厚で、成績も優秀である。彼はゲイである。美しい顔をしているのにもったいないなあと、嫁が言っていた。今度彼の彼氏がIE Business Schoolに入学をしたらしい。カップル揃ってIEの学生である。就職活動等でイライラが募っているのだと思う。最近は「メタボ」「ちょいデブ」と日本語で書かれたジャージを何故か着ている。

もう一人のフランス人は最も仲の良い友達である。彼はルノーで働いていた。ルノーと日産が提携していることから、彼は日本に1年間住んでいた事がある。日本人でもこんな人いないだろう、というくらいきっちり屋さんである。大学時代には飛び級をするほど優秀であり、且つ理系なのでファイナンスや定量分析が圧倒的に強い。定量分析の授業では、唯一人クラス全員の前で、誰も理解出来ない解法で問題を解いていた。その一方で気を配ることを出来る人間で、第一タームで言葉がわからず苦労していた自分を気遣ってくれた。彼は今エネルギー会社でインターンをしていて、その合間を縫って、Venture-Lab、通常のクラス、そして子供のお守をしているので、大変忙しい。また大変な愛妻家であるので、「今夜は僕の妻の誕生日なので彼女との時間を楽しみたいからミーティングには行けないよ」という顔が赤くなってしまうようなメールを平気で送ってくる。

とまあ、各クラスでトップクラスの成績を修めている二人と、ボトムに近い自分にて構成されているこのチーム。最終提出期限まで2カ月を切った。

2009年9月28日月曜日

Leedsからの友人が来た

週末、Leeds大学の友達がマドリッドにやって来た。自分の直接の友達である彼女と、彼女の同じビジネススクールの同級生2人、彼女の台湾人の友達2人、合計5名で旅行をしているとのことで、彼らみんなと夕食を共にした。丁度学校のクラスメートの韓国人も、IEに交換留学生として来ている韓国人学生をマドリッドの夜に連れていくということで、合流することになった。これに日本人の同期と、タイから来ている交換留学生、合わせて11人での食事となった。

Leedsのみんなはその後どうなったか、等など話は尽きることがなかった。が、彼らは韓国人の経営するホステルに泊まっているということで、門限が12時となっていた。マドリッドの金曜の夜12時というのは、日本でいえばサラリーマンがなんとか7時頃仕事を切り上げてこれから合コン会場に向かおうか、というくらいの時間である。色々連れて行こうと思っていたのだが…。が、門限を過ぎるとシャワーも浴びることが出来ないということなので、仕方なく彼らはホステルに帰って行った。

その後、同期の日本人とタイ人の交換留学生と共に、マドリッドの夜をふらついた。マドリッドの夜風は、昔を偲ばせる風だね、なんてちょっと詩的なことを言いながら、バルを飲み歩いた。

2009年9月23日水曜日

遅刻

今日はFinancial Reporting and Analysis の授業で、年金会計について自分のチームがプレゼンを行う日だったのだが、自分はあろうことか遅刻してしまった…。このプレゼンは、初めて日本人の同期と一緒に作業をしたものであり、我々が担当したパートについては、かなりスムーズに事が運んだのだった。チーム全体が、プレゼンをやりたくないムードの中、その同期は進んでプレゼンを引き受けてくれたにも関わらず、自分は遅刻をしてしまい、到着したのは彼の担当箇所のプレゼンが終了した後だった…。

携帯の時計が4分間遅れていたのだが…それ以前に、10分くらい前にきちんと来ているべきであったと猛省している。life-iedemadrさん、本当にごめんなさい…。

2009年9月21日月曜日

友人のバースデーパーティー

わずか2日前というショートノーティスで、ブラジル人の友達から誕生日パーティーの案内が来た。彼とはその奥さんも交えて結構仲良くなっているので、日曜日の夜とはいえ、行かないわけにはいかなかった。

マドリッドのショッピングセンターにある飲み屋だったのだが、体全体をもたれさせることのできるソファーがあり、快適な場所だった。立ちっぱなしのスタイルより、やはり座って飲んで話す方が自分には相当快適である。

アメリカ、イギリス、イタリア、フランス、ブラジル、スペイン、(すげーサッカー強そう!)そして日本…考えてみると、これだけ国籍がバラバラのの人が一つのテーブルを囲んで過ごすことを最近は当たり前のように感じるけど(今回はかなり綺麗に割れたが)、こんなことは自分の人生には決してなかったことなのだ。もし自分が彼らと同レベルで英語が出来るようになれば、こうして、より多くの人達と話をし、多くの人達を知ることが出来るのだ…今更ながら、語学をきちんと勉強することは、自分をより大きく成長させ、自分の可能性を大きく広げることなのだ、ということを再認識した。その中でも、特に英語はやはりその可能性を最も大きく飛躍させてくれると思う。日本ではもはや英語なんて当たり前、とか、日常会話程度は出来るようにならないと、なんて言われているけど、酒の入った時の日常会話は確実に学校にいる時の会話より難しい。学校にいるときはビジネストピックなので、よっぽど想像がつくのである。

さて、このブラジル人の友人は、今日もみんなの前で、奥さん(これが相当綺麗!)とブチュブチュしていた。今でも尚、自分は目をそらそうとしてしまうのだが、やはり文化の違いだろうか。

マドリッドの夜は更けていく。もう長袖のシャツでも寒いくらいになってきた。

2009年9月20日日曜日

青春の歌

金曜日の夜、交換留学にアメリカから来ているタイ人にマドリッドの夜を堪能させてあげようとしていたのだが、彼から電話があり疲れたのでまたにしよう、という連絡があった。

音楽でも聴いてゆっくりするか、と思いYoutubeで懐かしい曲を検索した。小学生くらいの時からつい数年前までの曲を順番に聴いてみることにした。自分は、例えば高校時代に「俺は洋楽しか聴かねえからよォ」みたいなことを言うタイプの人間ではなかった。圧倒的なミーハー心で、ジャパニーズポップを聴いていたので、この夜聴いたのも往年のジャパニーズポップ。

Every Little thingの大ヒット曲である「Time goes by」を聴いてみた。泣きそうなくらいいい歌だった。中山美穂and WANDSの「世界中の誰よりきっと」を聴いてみた。カウントダウンTVのTOP3位に入るような曲は、やはりこうではなくてはならぬ、と瞳を閉じて唸ってしまった。中島美嘉の「雪の華」。スペインと特にかけ離れたこの歌は、部屋を真っ暗にして聴くといいと思う。

ジャパニーズポップのいい所を再認識した、留学というものから完全に遮断された夜だった。

2009年9月19日土曜日

大分寒くなったマドリッド

9月も中旬であるが、マドリッドはもうかなり寒くなっている。ついこの間まで温度計は午前中でも30℃以上を示していたが、今では17℃くらいまで下がっている。

去年ここに来た時は、明らかにこの時期でも暑かった。家の契約をしたのが2008年10月1日だったが、この日はとても暑かったのを覚えている。会社の現地法人の人がこの時契約に立ち会ってくれたのだが、「今年は異常な気候だ」と言っていたことが印象的だった。

今のこの気候が、本来のマドリッドの気候ということなのだろう。相変わらず空は青い。が、丁度3か月後にこのコースは終わってしまうため、もうあの灼熱の太陽を感じることもないのである。

2009年9月18日金曜日

The Wall Street Journal One-Year MBA Programs

で、IE Business Schoolが世界1位にランクインしたようである。

http://campus.ie.edu/webapps/portal/frameset.jsp

Accelerated Programのランキングなので、アメリカでメインである2年制のプログラムはランキング対象外。

最近、1年制のMBAプログラムが人気のようである。が、もちろん長所短所があるので、出願者はそこを入念に調べて欲しいと思う。また、ランキングはあくまで学校選びの一つの基準に過ぎない、ということは本当のことなので、これも決して忘れないで欲しいと思う。

2009年9月16日水曜日

伝えるのが難しい

相変わらず、英語で言いたいことを短時間で伝えるのは難しい。

Financial Reportの授業では、発言をしている途中で、教授に「なるほどお前の言っていることはこういうことだな」と勝手に解釈され、それをそのまま学生に説明されてしまった。どうやら自分が違法なことを言っていると解釈されたらしく、他の学生が、それは不可能なことだ、とコメントしていた。もちろん、自分はそんなことは言っていない。まがいなりにも与信管理をしていて粉飾決算書と格闘していた自分が、違法な財務諸表を良しとするような発言を言うと解釈されるとは…。自分が言いたかったことは、ステークホルダーによって、財務諸表における注目点が違うわけだから、全く同じデータを使いながらも、適宜財務諸表の中で強調すべき箇所を変えることは可能なのではないか、ということだった。銀行の視点であれば、金が返ってくるかどうかが一番大切なわけであるし、一般株主からしてみたら、配当原資がどれくらいあるかが大事なのだ、ということである。

Valuationの授業でもそうである。なかなか話をじっくりきいてくれないインド人学生がグループにいるのだが、彼にわかってもらうことも大変な努力がいる。この間は、Working Capitalの増減について、そして昨日は融資に対する判断基準についてだった。融資額と、融資先のFCFから導き出されるNPVを比較しても、融資者にとっての融資基準とはなりえないはずだ。融資の対価は、金利である。

こんな調子で第4タームが過ぎている。

2009年9月11日金曜日

Merger & Acquisition

M&Aの授業で、ゲストスピーカーが来た。この授業の教授が弁護士でM&Aの実務を行っている関係からかどうか知らないが、そのつながりで投資銀行の人達を招き、投資銀行の役割についてプレゼンをしてくれた。彼らはマドリッドのJP Morganで働いている人達だった。とてもはきはきと、しかも抜け目のない感じで話をしていた。やはりスペイン人でも、アメリカ発の投資銀行で働いている人は、とてもきびきびしていた。

内容としては、投資銀行のM&A業務の内容、プロセス、バリュエーションの方法等だった。バリュエーションの方法は、MBAで習うDCF法等の基本的な方法も使用するが、どうやらそれ以外の方法も使用して、多角的にアプローチをするようである。

ところで、プレゼンテーターは二人いたのだが、一人はもう片方がプレゼンをしている間、始終ブラックベリーをいじっていた。自分もブラックベリーを使用しているが、学生の内の今は使用するのはいいが、実際に仕事が始まったら、本当に使いたくないなあ、とつくづく思った。ちなみに、彼らの帰宅時間は毎日12時過ぎ頃だという。こっちの人には驚かれるかもしれないが、日本人にとっては特に驚くような時間ではないと思う。ただ、日本の場合、長く居ることがさも勲章であるかのように勘違いしている人がまだたくさんいるので、密度には大きな違いがあるのかもしれない。

2009年9月10日木曜日

欲張りすぎ?

この第4ターム、どうやら自分だけハリキリ過ぎてしまったようである。1か月半しかないこのタームに、Venture Labを含めて6つの科目を入れたことを皆に言うと、みんな笑って「おいもっとリラックスしろよ」と笑われるのが常なのだ。もうコースもあと3カ月で終わりなので、みんな、「後はリラックスして楽しもうやー」という雰囲気なのかもしれない。

そもそもコアの時と違って、学校であまり他の学生を見かけないし、グループミーティングルームの確保も至って容易である。

あー…やっぱり眠い。クーラーがガンガンにかかっている図書館で眠りについてしまう。でも寒い…。大学受験中を思い出す。

2009年9月9日水曜日

グループワーク隆盛

第4タームということで、もうエレクティブ期間でこのコースも残り少ないことから、なんとなくカリキュラムも楽になってくるんではないかと勝手に思っていたのだが、甘かった。

現在、同時に5つのグループが存在している。Valuation in Practice、Alternative Investment、Financial Report and Analysis、Mergers and Acquisision、Venture Lab、つまり受講している科目ごとに別々のグループが存在しているということになる。Venture Labは大きなプロジェクトなので、時間をかけなければならないし、その他の科目も初めてチームを組む人が多いので、勝手がわからない。

まったく…最後まで決して楽をさせてくれないようである。ただグループワークで何かを担当すると、グループ単位で成績が付されるので、他のメンバーに対する責任感が湧き、真剣に課題に取り組むことになるので、得るものも大きいのだが。コアの時は、担当分担によっては、グループワークといえども何も関わらない科目もあったので、最近の方が学習環境には良いのかもしれない。…というかそれがここでの本業なのだが。

おかげで家に帰ってくると、もう眠くてたまらない。

2009年9月8日火曜日

第4ターム始まる

夏休みも終わり、いよいよ第4タームが始まった。このターム以降、エレクティブとなるが、自分はファイナンスにフォーカスすることにした。第4タームでの受講科目は以下。

Business Valuation in Practice
Merger & Acquitisions
Financial Reporting & Analysis: An International Approach
Alternative Investment
Organization Design
Venture Lab (第5タームと続きもの)

①Business Valuation in Practice

これは文字通り、Valuationの実践をする授業。計算式から導き出された理論値と、企業が置かれた環境に基づいたリスク等の定性面の両方を考慮しながら、企業価値を求める。

②Merger & Acquitisions

IE Law Schoolの授業を選択科目としてMBAの学生も受講出来る。M&Aとは何ぞや?から始まる。直近のM&Aの事例に基づいて、クラスの中で議論をし、M&Aの狙いや、そこに潜むリスク等を検証する。

③Financial Reporting & Analysis: An International Approach

まだ1回しか受講していないので、詳細はよくわからないが、財務分析を体系的に学習する授業だと思う。

④Alternative Investment

株と債券以外の、いわゆるAlternativeと言われる投資手法について学ぶ。プライベートエクイティ、ヘッジファンド、不動産、商品・先物等。今日第1回目の授業を受けたが、この手の職業経験者がかなりいたようであり、素人が食らいついていくにはかなりの努力を要するかもしれない。

Organization Designは、10月に入ってから、9日連続で行われるらしい。こういう日程、ほんと止めてほしいよなー…。Venture Labは既に夏休み前からチーム編成、そして基本アイデアを提出済みである。これから綿密なプラン作成をしていかなければならないが、その他の授業のグループワークが思ったより多く、十分な時間が取れるかどうか心配である。

2009年9月7日月曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ニューヨーク③ 最終日、そして帰国~

アメリカ滞在最終日は、夕方の飛行機でJFK空港からジュネーブに向かうことになっていた。特にどこに行くという目的ももはやなかったので、朝食と取ろうとうろうろホテルを出て歩いていた。すると美味しそうに屋台のご飯を食べている人達がいた。その匂いにあっという間に吸い込まれてしまった。カレーの様でカレーでないライスだったが、これも美味しい!NYはレストランも美味しいが、こうした屋台の飯も実は美味しいことを知った。

屋台メシ!

色々な種類の屋台がある

その後、未だ日本に進出をしていないAbecrombie & Fitchの本店に行くことにした。が、長蛇の列が出来ている。ここまで人気があるとは知らなかった。ボストンに行った時にここで何枚か服を買っておいたので、さすがに並んでまで入る気力はなかった。

「アバクロ」は大盛況である

NY最後の食事は結局、安い中華料理屋で済ますことになった。味は際だっていないけど、値段が安く、ボリューム満点だったので良しとしよう。

これでNYは終わりである。相変わらず暑苦しい地下鉄に乗って、JFK空港まで移動した。次いつ来ることになるかわからないが、刺激的でとても楽しい街なので、是非また行きたいと思う。

NYからはジュネーブへ6時間くらいかけて飛んだ。ロンドン行きのフライトまで時間があったので、街の中心まで足を運んでみた。相変わらず綺麗な街だった。NY程の刺激はないが、静かで空気がとても済んでいた。眼を閉じると眠ってしまいそうな気候であった。

ロンドンシティ空港に着くと、マドリッド行きの飛行機の出発までは2時間30分くらいしかないことに気づいた。マドリッド行きの飛行機はスタンステッド空港から出るので、トランジットに時間がかかる。シティ空港からスタンステッド空港までは直通バスがないのである。電車の乗り換えに戸惑い、いよいよ飛行機を逃すか!?というぎりぎりのところまで来たが、Stansted Expressというやたらと途中駅を飛ばす電車に乗ることが出来たので、何とか間に合った。

例によって、最後は大嫌いなRyanairだが、あまりに眠くてずっと寝ていた。そして飛行機は、ついにマドリッドに帰ってきた。蒸し暑い、そして何もないマドリッドに。

この夏休みの旅行には本当に満足した。ずっと行きたかった場所に行けたし、美味い物も食べることが出来た。アメリカとヨーロッパの違いも感じることが出来た。この二つは全然違う。既に痛感していることだが、同じヨーロッパの中でも国々はまるで違う。これからは「欧米」という括りで何かを表現することは止めようと思う。括れないからだ。ヨーロッパ、という括りも本当は出来ないことだと思う。

世界は本当に、多様である。一つの価値観で括るなんて出来るわけがない、そんなに単純ではないのである、ということを、この年になって初めて身をもって実感する今日この頃である。

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ボストン~

翌日はSOHOを回った。日曜日でも関係なく、活況を呈している。ブロードウェイをちょっと外れると、個性的な店も数多く軒を連ねていた。ファッションにあまり詳しくはないが、やっぱりヨーロッパの方がオシャレかなあ…まあ個人の感じ方次第だと思う。この日の夜はベトナム料理屋に行った。Saigon Grillというところである。ここもIEの同期がおしえてくれたレストランで、安めなのにとてもおいしかった。店内は大盛況であった。

さて、翌日はまたもチャイナタウンからバスを使いボストンへ。この日に使ったバス会社はかなり伝統があるようで、ワシントンDCに行ったときに使った会社よりいい感じであった。トイレは相変わらず汚かったが。それでも最終的に、予定通りの4時間でボストンに到着した。

ボストンで宿泊したホテルは、ハーバード大学に近かったので、最初にハーバード大学の一部を見学した。ホテルからチャールズ河を渡る前に、ハーバードビジネススクールがあった。圧倒的に綺麗な建物だった。なるほど、世界中のアプリカントを魅了するだけのことはある。日本にいた時に想像していた、海外の大学像というものとぴったり一致した。世界一を標榜する組織は、中身だけでなく、外見も最高のものでなくてはならない、という考えがあるのかもしれない。昨今の金融危機でビジネススクールに対し、いろんな批判が出ている。勉強はどんな施設でも出来る、という声ももちろんあると思う。が、やるからには、中身も、施設も、徹底的に最高のものを用意する、という姿勢はすごいと思う。それが出来るだけの寄付があるということなんだろうけれど、それを惜しみなく学生のために使用する、というのは当たり前のことである。だが、その他のハーバード大学の建物は普通だったようである。ハーバードビジネススクールだけが、際だってすごい施設を持っているということなのだろう。

チャールズ河を渡り、ハーバードスクエアからボストン中心地まで地下鉄で移動した。NYの地下鉄よりはるかに綺麗だし、明るい感じがする。整然としたところだなあ、と思った。街の中心に着くと、本屋の中にあるカフェに入った。チャイティーを飲んでいると、階下に大学特集コーナーのような一角があった。そういえば、ウォールストリート周辺の本屋でもそうであったのだが、アメリカでは大学紹介や大学ランキングの本がやたらと売っていることに気付いた。日本でもこうした本は売ってはいるが、店頭にどかーんと置いてあるだろうか?考えてみれば、NYでもボストンでも電車の車両に大学の広告がやたらと多かった。しかも特にMBA等のビジネス系学位について。NYでは「こんな時代だからこそ、一つの学位があなたの未来を大きく変えます」みたいなキャッチフレーズがあった。日本ではまず変わらないだろうが、こっちではそれほど大きく変わるのだろうか?見る者を焦らす効果があるのかもしれない。「えー?俺もやらないと置いていかれるー!!」という焦燥感を与えるための。

夜は、ショッピングモールにあるレストランに適当に入った。ボストンといえば、クラムチャウダーと海鮮だろう!というステレオタイプに乗っかり、クラムチャウダー、牡蠣、そしてロブスターを注文した。これは美味い!適当に入ったレストランだったが、とても美味しい。食べ物美味しいじゃん、アメリカ!スペインの不味い料理のせいで味覚が狂い、相対的に美味しい、ということではなく、純粋に美味しいと感じた。

美味いロブスター

翌日は、ホテルから荷物をそのまま持って、昨日通り過ぎただけだったハーバードスクエアに来た。ハーバードヤードに行くと、多くの観光客でごった返していた。これほど多くの観光客が訪れる大学は世界広しと言えどもないのではないだろうか。小さな子供を連れた家族も結構いて、「お前も将来ここに来るんだぞ」といった話をしているんだろう。ハーバードスクエア自体にもレストラン等の色々な店があって、いい雰囲気を醸し出していた。昼食をとり(今回はそこまで美味しくなかった…)、地下鉄に乗ってバスターミナルへ戻った。

ハーバードヤード

バスは今回も予定通り4時間で、NYに戻ってきた。マンハッタン島に入る直前、夕焼けの中に自由の女神が少しだけ見えた。夕食はホテルに置いてあったザガットサーベイを参考にした。NYの韓国料理屋の中で、最も味の点数が高いレストラン、HanGawi(http://www.hangawirestaurant.com/)に行った。ヘルシーなことを売りにしているらしく、ユッケジャンを注文したが、肉が一切入っていないのが残念だったが、味はとても美味しかった。

夕焼けのウォール街

明日はいよいよNY最後の日である。さすがにこの大都市滞在にも少し疲れてきた。

2009年9月6日日曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ワシントンDC~

次の朝、ワシントンDCに向かうため、チャイナタウンに向かった。ここ、チャイナタウンからは、近郊都市への格安バスが走っている。ワシントンDCへは、一人往復で35ドルという安さである。

バスには中国系の客が多い。バスはところどころイスのスプリングが壊れていたり、ゴミが転がっていたり、トイレが落書きだらけでしかも水が流れなかったりと、どこか別の国に来たかのような錯覚に陥るくらいであったが、安いのだから仕方がない。

サブウェイのサンドイッチをかじりながら、外の景色を眺めていた。ところどころで途中の街の風景が見える。フィラデルフィアやボルチモアといった大都市も見ることが出来た。これらの都市には遠くからでもわかるくらいの大きなビルが必ずある。アメリカという国は大きいんだな、ということを感じた。一方で、ハイウェイの周辺に建っている家々は、かなり古かったり、暗い雰囲気を醸し出していたりと、富と貧困が同時に存在していることも目の当たりにすることとなった。

やがて5時間くらいバスに乗って、ワシントンDCに着いた。ワシントンDCは首都でありながら、行政地区をすこし離れると治安がよくない、ということを聞いていたが、バスから眺める景色からなんとなくそれは伺えた。首都はその国の顔と言えるであろうが、世界で最も強大な権力を持つこの国の首都が、こんな隙をみせているなんて。

ワシントンDCは13年前に一度来たことがある。高校の修学旅行の時。あれが初めての海外旅行だった。随分昔のことなので、ほとんど記憶になく、今回こうしてやってきても、「ああここね、あったあった、覚えているよ!」というような感覚はまるでない。その意味では、来たことのない街に来たような気分だった。

ワシントンDCでは、オバマ大統領がまるでアイドル扱いだった。等身大のオバマ大統領ボードが店の前に置いてあったり、オバマ大統領グッズがたくさん売っている。実際、ワシントンDCの人種構成は、アフリカ系アメリカ人が最も多く、50%を超えているらしいので、こうした人口構成がよりオバマ人気に拍車をかけているのかもしれない。

アイドル大統領

さて、最初に行ったのは、恥ずかしいくらいベタにホワイトハウスである。修学旅行に行った時は中を見学出来たのだが、今は警備が厳重で、日本大使館を通じて予約をしないと中に入れないらしい。今だったら昔とは違った観点でみることが出来たろうから、少し残念だった。既に夕方だったので、行政区をうろうろすることにした。サブウェイのサンドイッチ以来何も食べていなかったのだが、夕飯時も近いということで、空腹を埋めるため、Ben&Jerryでアイスクリームを食べることにした。Ben&JerryはOld post office pavilionの中にあった。このため、再び手荷物検査を受けることに。Ben & Jerryを食べるのも楽ではない。中にあったBen & Jerryは、人類を内部から破壊する、もう一つの兵器の販売場所であった。結構おいしいけど。

もう一つの兵器(極小)

その後、色んな彫刻のある公園で、夕方のジャズフェスティバルがやっていたので、そこに行ってみた。みんな噴水を囲んで座り、ジャズの生演奏を聴きながら、サングリアやビールを飲んでゆっくり時を過ごしていた。西日が異常に暑かったことと、サングリアが全く甘くなかったのが残念だったが、まあいい時間だったと思う。

連邦議会にかかる虹

翌日は午後3時のバスでNYに戻ることになっていた。なので、行く場所をスミソニアン博物館に絞った。ここも高校時代に来たことがあるのだが、全く記憶にない。輝かしい(?)歴史を持つ宇宙開発や軍隊に関わる物品が展示されていた。核兵器についても説明があった。"Ultimate Weapon"と書いてある。よく見ると、ロッキード・マーティンやボーイングといった兵器製造会社の名前があるのだが、これらの企業がスポンサーになっているのかもしれない。軍産複合体を思い出した。一方、プラネタリウムを利用したブラックホールの秘密についてのアトラクション等々、興味深いものもあった。「何だよー、プラネタリウムかよー」と最初はがっかりしていたのだが、この点はさすがアメリカという感じで、素晴らしい映像技術でもって、楽しませてくれた。

チャイナタウンで、安いがあんまり美味しくない昼食をとった後、NY行きのバスに乗り込んだ。意外にもバスが埋め尽くされる程の乗客がいたが、乗客のほとんどはアフリカ系アメリカ人だった。発車ぎりぎりに行った我々は、地獄のトイレのすぐ近くに座る羽目になった。おまけにこのトイレ、ドアが閉まらない。バスが曲がる度に、ギーと音を立て、ドアが開き、中の落書きと便器が見える。ものすごいストレスである。最終的にコインを使って外側から鍵をかけるという荒業でこれを乗り切ったのだが、乗客がトイレを使用する度に、自分がコインでトイレを開けてあげなくてはならない。トイレの門番状態になってしまった。

バスは途中、フィラデルフィアに立ち寄った。ただでさえ治安の悪さで有名なこの都市であるが、丁度黒くどんよりとした雲が街を覆っていて、さながら暗黒都市のように見えた。やがてものすごい雨が降り出した。しかしチャイナバスの運転手は極力スピードを出して運転をするので、相当怖かった。

5時間バスに乗り、NYに着いた。NYで夕食を取れる時間は実はあまりないので、この日も学校の友達のおススメのレストランに行った。Smith & Wollenskyというステーキハウス(http://www.smithandwollenskysteakhouses.com/index.htm)。中に入ってから気付いたのだが、みんな襟付きの服を着ている…。「え?こんなところなの?あのやろー…こんなところ紹介しやがって…」友達は、NYで弁護士をやっていたから、たくさん金を持っているのだろう。でも我々は違う…スペインでは毎日の食費を二人で5ユーロ程度に抑えて生きているのだ…。結局Tシャツに短パンのまま、それでも荷物をクロークに預けてしまって引き返しづらい。「ええい、昨晩は嫁と大喧嘩をして、夕飯を何も食べていないので、これで相殺だ!」と言い聞かせ、意を決し、ここで食事をすることにした。まあ…味はそこそこかな…そこまで強いインパクトはなかったかな…サイズ以外は…。

肉!!

2009年9月4日金曜日

夏休み旅行 ~アメリカ合衆国 ニューヨーク② 有名スポット巡り~

学校も第四タームが始まってしまったので、ブログ更新頻度が再び落ちてしまったが、なんとか踏みとどまりたい。

ニューヨーク2日目は、マンハッタン島を観光するという、至って普通の過ごし方。それでも朝から自然と体が「起きなければ」という信号を発したのか、すんなりと起きることが出来た。

まずはタイムズスクエアを見なければならない。テレビで何回もみたあの場所に行かなくては、NYに来たなんて言えないじゃないか!とミーハー心丸出しであった。その途中で、朝飯を食べる必要があることから、カフェに入った。カフェといっても、スペインにあるような、ちんたら食べ物やコーヒーを出すようなところではなく、日本的なシステマティックに機能したカフェである。ここでフードを調理している人達は皆、ラテンアメリカ系の人達だったのだが、驚くほどに手際がいい!オペレーションが圧倒的に早いし、同時に複数の作業をこなしている…!「…やればできるんじゃん…」こういう心持ちを抑えることが出来なかった…。スペインでのラテンアメリカ系の人達の仕事の遅さは、もはや伝説の域であることは今さら言うまでもないのだが、ここNYでは違った。そこにはきっと、彼らをそこまで駆り立てるあまりに厳しい環境があるからなのだろう。使えなければ即座にクビ、この速さでオペレーションを回さなければ黒字が出ない…等など事情があるのだと思う。さて、味の方だが、美味しい。ハムソーセージベーグルを食べたのだが、これは納得。消費者の厳しい眼がいつも光るこの街では当然のことなんだと思う。

手際のいいカフェに積まれたパン

朝食を済ませ、いよいよタイムズスクエアへ。おお、TOSHIBAとPanasonicのモニターが一番いいところを占めている!良くテレビに出てくるNASDAQの青い看板がある。そして、ライオンキングがある!同じような光々とした看板は東京に腐るほどあるのだが、ここではちょっとした感動をもってこうした看板をみることが出来た。ピカピカだ…資本主義だ…富める自由だ…

みんなの目に留まる場所

ギラギラのタイムズスクエアを後にして、打って変わって国連本部に向かった。この時はタクシーを使った。珍しく愛想のいいおじさんだった。おじさんはNYのことを色々と話してくれた。NYのタクシー運転手はインド人、パキスタン人やアフリカ系の人が多い。このおじさんはどうやらインド人らしい。やがておじさんと宗教の話題になった。我々は、日本人は無宗教の人もいるんだよ、という話をした。そしたらおじさんは言った。「宗教がないなんて、さみしくないかい?」心の残った言葉だった。そうした感情は、今まで抱いたことのないものだったからだ。外国人にとって宗教はとても大事であることを再認識した。

そうこうしている内に、国連本部に到着した。有名な、先の方が結ばれている拳銃のオブジェがあった。荷物検査を通過して、中に入ると、原爆についての展示コーナーがあった。凄惨な写真がたくさん展示してある。韓国出身の事務総長潘基文の肖像画も展示してある。(潘基文はその後のツアーでも頻出した。)しばらく並んでチケット買い、やがて国連ツアーが始まった。ツアーコンダクターの職員は最初に、「国連の本部はここアメリカにあるけど、国連ではどの国でも平等だ」的なことを言っていたと思う(あまり聞けなかったので自信がない)。確かにそういう断りがないと、さもアメリカがあの原爆の展示を自主的に行っているように来訪者に思われてしまうかもしれないもんな、と思った。実際に爆弾を落っことしたアメリカ人は、今でも戦争早期解決のための正しい行いだったと言っている、というのをテレビで見たことがある。ここだけはしっかり前置きを頼むよ、と職員は言われているのかもしれない。でもいきなりツアーの初めの段階で、特定の国家の名前が常任理事国となっていることが説明された。世界第2位と第3位の経済大国の名前がそこにはない。65年前に戦争で負けてしまったからだろうか。いずれにしても、なぜアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国が常任理事国なのか、ということについての説明は一切なかった。

正面からみると立派なのだが、

実はかなり薄っぺらい

国連を出た後は、コロンビア大学の見学に行った。アメリカの大学というものをみたことがなかったし、何より持ち前のミーハー心が、この知の結集地の見学を駆り立ててならなかったのだ。地下鉄のマップを見て、適当に大学に近そうなところで降りると、そこはハーレム地区であり、ミッドタウンとはガラッと雰囲気が違った。昼間で晴れていたからよかったものの、暗くなってから歩いたら結構怖いかもしれないな、と思った。しばらく歩いていくと、コロンビア大学のキャンパスに着いた。ものすごく綺麗なキャンパスだった。マンハッタン島のような小さい島に、堂々としたキャンパスがそびえ立っていた。こんな素敵なキャンパスで学び、しかもNYの刺激に触れながら暮らすなんて、コロンビア大学の学生は、様々なアドバンテージを享受できるのだろうな、と思った。

コロンビア大学

国連本部、そしてコロンビア大学見学を済ませた時点で、相当腹が減っていた。昼飯は、みんなが口をそろえて行くべきだと勧めてくれたハンバーガー屋に行った。Shake Shack(http://www.shakeshacknyc.com/)である。Madison Square Parkには噂通りの列が。腹が減っていたが、ここまで来たのだから並ばなくては!実はこの時、注文に手違いがあって、一つハンバーガーが入っていなかったのだが、店員は臨機応変に対応してくれた。名店は客を逃がさないか…。さて、味の方は…肉汁がジュワー…おいしいなあ…ああ、本当においしいなあ…(この文章を書きながら、よだれが出てきた。)。

空腹には本当にこたえる行列

いただきます

昼飯を済ませた時には、既に夕方になっていた。だがどうしても見逃せない場所がある。マンハッタン島の南端、Wall Streetである。タクシーに幾度となく乗車拒否されたため、この時は地下鉄を使った。Wall Streetは世界一有名な金融街ということで、想像以上に観光客でごった返していた。思ったより、すごい!という感じの場所ではなかった。ニューヨーク証券取引所があった。アメリカ合衆国の国旗が掲げられている。そしてそこの前では、超有名大学のビジネススクールの学生たちがスーツをびしっと決めて中に入るのを待っているようであった。証券取引所の見学であろうか?…こんな小さな場所で行われる、何ら実態あるものを産まない人間達の営みが、遠い世界の向こうでパン1個を争うような状況を生み出しているなんて、一体どういうことなんだろう?一体世の中はどうなっているんだろう?あの証券取引所の前にいるビジネススクールの学生達は、何を考え、今あそこにいるのだろう?こんな仕組みを変えなければと考えているのか、はたまたこの小さな島で同じをことを繰り返したいのか…?ふと第3者的な立ち位置に立ってこうした疑問が湧いてきた。でもすぐにもう一人の自分が自分に言った。「お前だって同じビジネススクールの学生だろう?」

世界で一番有名な通りなのではなかろうか

うろうろしていると、偶然グラウンド・ゼロに来た。こんなところに飛行機が2機も突っ込んできたのか…。このマンハッタン島で最も高かったビルに飛行機は直撃。傷ついたこの街は、さらに大きなビルをこの地に建てるという。この傷跡を傷跡のまま残しておくこともこの街は許してくれないのか…あるいは、より大きなものを建てることで、アメリカは負けない、ということを示したいのか…。

グラウンド・ゼロ

かなり色々と考えさせられた1日だった。