2009年11月8日日曜日

フットボール観戦② レアルマドリッド VS アトレティコマドリッド

先日のチャンピオンズリーグが素晴らしかったので、またフットボールに行った。今度はレアル・マドリッド対アトレティコ・マドリッドのマドリッドダービーと言われるマッチである。

今回は学校の友達を含め4名で観戦をすることなっていた。試合前に近くの駅で食事をすることになっていたのだが、思ったよりそこで時間を使ってしまった。また、この日のスタジアムはEstadio Vicente Calderonというアトレティコのホームスタジアムだったのだが、歩くと結構距離があり、ここでも到着時刻見積もりを誤ってしまった。結局、走りながらスタジアムが見えたー!という時にはスタジアムからものすごい歓声が挙がっていて、これがカカによるレアル・マドリッドの先制点だということを後から知った。試合開始後5分で点が決まっていたのである。

みんなぜいぜい言いながら、スタジアムの中に入った。と同時に目を疑った…うわー真っ赤…みんなアトレティコファンであった。基本的にメインスタンドから見て、左側がホーム、右側がアウェイのチームの応援席であると認識にしていたのだが、どうやら様子が全く違う。しかもアトレティコのサポーターはやたらと血気盛んでかなり怖い。席はどこだ?と探しているだけで、「座れお前ら!!」みたいなヤジがたくさん飛んできた。さらに状況が悪いことに、我々が予約している席に座っている人間がいて、一向にどこうとしない。整備員みたいなやつに何とかしろと言っても、ビビって何も言おうとしない。本当に役立たずである。仕舞いには、友達の中の一人にとても勇敢な者がいて、警察を呼んできて事態に対処することになった。彼はスペイン語にも非常に堪能で、当事者と激しく議論をしていた。次第にあたりは騒然となった。この我々の席を占拠しているやつらは、警察の呼びかけにも一切応じようとしない。一方で、観客は「見えねえんだよ!中国人!」みたいな罵声を我々に浴びせてきた。完全に四面楚歌の状態である。今自分の上着の懐にあるレアル・マドリッドのマフラーがぽろっと落ちてしまったら、確実に殺されるだろう。最終的に警察がこの占拠していたやつらを無理やり追い出したものの、こいつら、一旦席を去った後また戻ってきて、何があったのか知らないが周辺のスペイン人の観客と一触即発の状態になっていて、まさに乱闘直前状態であった。警察が必死でこのクレイジーな客を取り押さえていた。

この勇敢な友人のおかけで我々は何とか席に座ることが出来た。彼がいなければ座ることは絶対に出来なかったと思う。「我々は確かにチケットを買ったのだから、座る権利があるのは当然である。」という趣旨の彼の堂々とした発言には、感銘を受けた。だが、アトレティコサポーターの激しさは止まない。周りは皆、汚い言葉でレアル・マドリッドを罵っている。ここでは絶対にレアルを応援することは出来ない。もうアトレティコの選手が倒されたりなんかすると最悪で、審判やレアル選手に激しいブーイング、声が枯れる程にでかい声を出している。サッカーには付きものの、あの「ブーッ」なるラッパみたいなやつを力いっぱい吹き鳴らす。とにかく観客の品が悪すぎる。ところで、このアトレティコのホームスタジアムは大きいのだが、サンティアゴ・ベルナベウに比べるととても庶民的で、神宮球場みたいな感じがした。金持ち階層が支持をしていたというレアル・マドリッド、一般大衆階層が支持をしていたアトレティコ・マドリッドという風に言われているが、それがよくわかる状況だった。何というか、そう、日本のテレビで頻繁に目の当たりにする、ものすごく危険なサッカースタジアム、それにまさに現実的に接触をしている感じだった。

結局前半が終了すると、レアル・マドリッドの応援席に移動することにした。が、驚いたのだが、本当に片隅ににしかレアル・マドリッドの応援席がない。同じ街なのに…。それに、レアルとアトレティコの応援席の境界線には、ずらっと警察官が並んでいた。1列ごとに警察官が立っている。最初そこを通してもらえなかったのだが、状況を伝えて通してもらうことが出来た。わずかなスペースであるにも関わらず、レアルの応援席は空席が結構あった。アトレティコファンが暴動を起こしたらこの人数の警官ではとても防ぎきれないだろうと思う。おそらくだが、レアルマドリッドのファンは100~200人くらいしかいなかったのではないだろうか。対してアトレティコのサポーターはほぼ会場全てを埋め尽くしていたので、50,000人はいたのではないかと思う。この比率なので、ブーイングが起きると、これまで聞いたことがないような大音声が響き渡る。

警察が通路に立っているのがわかるだろうか。
ここより手前がレアル・マドリッドの応援席。

あとはぜーんぶアトレティコ・マドリッドを応援する観客。

さて、試合だが、後半アトレティコは前半とはまるで違うチームかのように良い動きをし始め、34分に1点入れた。ただこの時点で3対1だったので、問題ないだろうと思っていたが、2分後の36分、またアトレティコが得点をした。これでいよいよ分からなくなってきた。この2点目が入った時は、恐ろしいくらいの地響きが起こった。スタジアム全体がアトレティコを勢いづけている。ホーム、アウェイというものの差は、これまでは理屈ではわかっていたが、この日は身を持って知った。アウェイというのは本当にやり難いんだろうと思う。その後もアトレティコの猛攻が続いた。これが本当に今期不調のチームなんだろうか?ダービーというものは、何か違う力が作用するということなのだろうか?とにかくスタジアムに来ると、目を離せる隙など全くなく、あっという間に時間が過ぎていく。こうしてレアルが攻め込まれている中、カカが交替となった。カカは退場する際、本当にちっちゃなスペースに追いやられているレアルの応援をみて、手を振った。こんな敵中の中でも、選手はきちんと自分のチームの応援席を意識しているんだなあと思うとちょっと感動した。それと同時に、こんな敵地の中でも俺達がついているぞ、という選手に対する気持ちが湧いてきた。

結局レアルがそのまま守り切り、勝利を掴んだ。試合が終わった後、レアルのサポーターは、アトレティコのファンに向かい、さらに罵声を浴びせていた。汚い言葉で罵り続けていた。善戦をした互いを称え合うということは一切ない。死体にさらに銃弾を撃ち込むようなことをしなくてもいいのに…レアルサポーターも性質が悪い。

いずれにしても、ダービーならではの殺伐とした雰囲気、そして展開のある試合内容、今回も十二分にフットボールを楽しむことが出来た。

このマッチについては、同期の日本人学生のブログでも詳細に描かれているので、是非ご覧になっていただきたい。

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