2009年10月30日金曜日

授業のスライド

ビジネススクールでは、授業でパワーポイントスライドが使用されるのが一般的だと思う。このスライドが黒板代わりであり、授業後好きなようにダウンロードが出来る。今更だが、ITの進歩によって、このあたりはとても効率的になっていると思う。

だが、結局パワーポイントは人間が作るものであり、その中身は作る人に依る、というところは変わらない。

見る人のことを考えないスライドが作られることが、なんとまあいまだに多いことか。なぜ最初に全体のマッピングに関する説明がないのだろう。どんな時にこれが使われるか、このトピックはどのトピックと同じ階層にあるものだとか、なぜそういったことに気が遣われていないのだろう。MBA学生くらいの大人になったなら、何でもかんでも要求をするな、ということでは済まされないと思う。教える側が学生に本気で分からせる気があるのなら、せめて知識やフレームワークを教える段階では、そのあたりをきちんと整理したものを用意すべきでだと思う。教える側は教えることのプロフェッショナルなのだから、学生が理解を深めるためなら、最大限の配慮をすべきである。

自分が理解していればみんなも同じやり方で理解するだろう、という考え方がどうも多いような気がする…。この部分はずっと気にしていかなければならない点だろう。

2009年10月28日水曜日

Financeの授業で思うこと

現在Advanced Corporate Financeの授業を受講しているが、授業に出ていて良いと思う点は、当たり前のことだけど、疑問点が出るとそれが共有されるということである。

Financeには様々な数式が出てくる。自分は(みんなもそうだと思うが)なぜその式になるのか、というところが気になって仕方がない。何でこの部分で「+」ではなくて「-」なのか、とか、何でこの比率を使わなければならないか、等々…。細かいのだが、このあたりの成り立ちをきちんと把握することは、数式の意味するところを理解するということなので、何のために、そしてどういった場合にこの数式が有効なのかを把握するため、そして自分のものとして身につけて、実際に使うことが出来るようになるため、大いに役立つと感じている。面倒くさいのだが、最終的に応用出来る程の力を付けたければ、この時間のかかる作業から逃げることは出来ない。

一つのことを深く考え始めると、色々な側面が見えてきて面白い。ただ、今期になって初めてそういった余裕が出てきたわけであって、第4タームまではなかなかそんな時間はなかった。きっちり復習する時間があったら、身に着けていた事はもっと多かったかなあ…あ、でも時間があったらあったでやっぱりダラダラ過ごしてしまうかもなあ…。

2009年10月27日火曜日

第5ターム始まる

これまで「何とかターム始まる」、というタイトルが幾度となくあったのだが、それもこれで最後である。最終タームが始まったのだ。第5タームの受講科目は以下。

①Advanced Corporate Finance
②International Strategy
③Swim With The Press
④Venture Lab (前タームからの続き)

コーポレートファイナンスとストラテジーという、自分としては最も興味がある2教科が依然として残っている。これまでで最も時間があるタームであることに間違いはないので、じっくり勉強できたらいいと思っている。これでケースやリーディングとももうお別れかあ…。でも読んでいないリーディングマテリアルが一杯あるなあ…。

2009年10月26日月曜日

The Economist 2009 full-time MBA ranking

The Economistによる2009年MBAランキングが発表された。
http://www.economist.com/business-education/whichmba/

IE Business Schoolは昨年の10位から16位へとランキングを下げた。ここのところものすごい勢いでランキングが上がっていたので、逆に実感が湧いていなかった。これからじっくりと順位を上げて、上位をキープし続けるような学校になればいいのではないかと思う。

そのためには、我々が頑張って結果を出していかなければ。

2009年10月25日日曜日

日本人異業種交流会

日本大使館においてマドリッド日本人会主催の異業種交流会が開かれた。マドリッドに1年以上住んでいるが、出席は今回が初めてである。

出席者は、外交官、金融業、製造業等様々な業界からの人達であった。驚いたのはこの日のゲストスピーカーである。数独(SUDOKU)の創始者の方がいらして、数独の成り立ちを話してくれた。

数独は1~9までの一ケタの数字しか使わない。Singleの数字=独身の数字。よって、数独、ということだそうである。

数独は本当に海外で大人気で、そこら中でみんな数独に打ち込んでいる姿を見かける。驚いたのだが、数独には一つ一つの数独に、一つ一つの展開があり、「むむむ、今回はそう来るかー!」といった「味」があるそうなのである。この味を出せることがこのゲストスピーカーの方の会社の強みであるらしく、実際コンピューターで数独を作る人達もいるそうでなのだが、その「味」の部分はコンピューターでも克服できないらしいのである。

ところで、自分の印象として、この創始者の方は全く欲がないように見えた。なので単刀直入に「創業してから儲けようとかそういった欲ってあんまりなかったんじゃないですか?」と訊いてみた。そしたら「全くない。若いうちは貧乏の方がいいよ。」と仰っていた。この言葉はとても印象に残った。成功者の方がこうういう発言をされると、やっぱり重みを感じる。

世間ではMBAといえば、マネーゲームみたいなイメージを持っているかもしれないが、自分の場合MBAに来てからというもの、経営を行う上での信念とか事業の社会的な意義とか、ビジネスおけるそういった視点がますます重要に思えるようになってきた。数独は、何日も費やして取り組むような難解なものにする意図は元々ないらしく、気分転換の為に、誰でも気軽に楽しめるものを作ろうとしているらしい。その言葉通り、今世界中で色んな人々が数独を楽しんでいる。

2009年10月23日金曜日

フットボール観戦

スペインに来て1年余り、ついに地元レアル・マドリッドの試合を本拠地サンティアゴ・ベルナベウで観る機会を得た。しかも欧州チャンピオンズリーグでの好カード、レアル・マドリッドvsACミランである。

マドリッドに対し否定的であり、片やでインターナショナルシティが好きな自分が応援したチームは当然…

レアル・マドリッドに決まっている!!

何だかんだでマドリッドに1年以上住んでいる身としては、レアル・マドリッドに思い入れが強いのである。レアルマドリッドとACミランの対戦の歴史上、レアルのホームであるサンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリッドが負けたことはなかった。なのでレアル・マドリッドの勝利を確信して止まなかった。

サンティアゴ・ベルナベウ周辺には、キックオフ2時間前だというのに多くの人でごった返していた。騎馬警官が警護のためにたくさん配列されていた。ACミランのサポーターが歌を歌っていた。しばらくすると、選手を乗せたバスがスタジアムに姿を現した。いよいよ実感が湧いていた。

周辺のバルは大いに賑わっていてみんなビールを飲んでいたので、持ち込もうとテイクアウトしたのだが、スタジアム内はアルコールは禁止らしい。まあアルコールと試合の興奮が合わさったらとんでもない騒ぎになるのは必至だから、それは仕方のないことだろう。

そしてついにスタジアムの中に入った。大学時代の卒業旅行でFCバルセロナのカンプ・ノウを見学したことがあったが、サンディアゴ・ベルナベウもとても立派なスタジアムだった。客席が巨大な壁のようになっていて、観客の声が本当に響き渡るのである。サッカーのためだけに作られた80,000人収容のスタジアム。本場のサッカーとはこういうものなんだ。それと同時に、家からわずか15分で来ることが出来るこんな素晴らしい場所に今まで来なかったことを後悔した。チケット販売当日にチケットを予約したのだが、結局値段の張る席しか予約出来なかったので、良い席に座ることとなった。想像以上に素晴らしい席だった。世界最高峰のチームの試合がこんなに近くで見られるなんて贅沢過ぎる。

試合開始前のピッチ

レアル・マドリッドの応援席

選手紹介が始まった。最初はアウェイのACミランの紹介からだった。ホナウジーニョのようなスーパースターの場合は、さすがにレアルサイドからも歓声が沸いたが、その他の選手に対しては静かめだった。一方、レアルの紹介になると、地響きのような歓声が湧き上がった。ラウールやカカの時の歓声が特に凄かった。

試合が始まると、その最中に他試合の状況が伝えられる。アトレティコ・マドリッドがチェルシーに負けていることを知ると、レアルサポーターは歓喜を上げていた。やはりマドリッドも二分されているのだということを感じた。さて、前半、ACミランのキーパーのミスのこぼれ球をラウールがゴールにねじ込みレアルが1点を先制した。得点が入ると、みんな一斉に立ち上がって大声を上げて喜んだ。自分も嫁も完全にその中に混じって、レアルの先制点を喜んだ。もう完全にレアルファン。周りにはやたとぶつぶつコメントを言っているおっさんや、シュートが外れると自分の髪をグシャーっと掴んで残念そうな顔をするおばさんがいて、みんな自分の身の上のことのようだった。つくづく地元に愛すべきサッカーチームがあることを羨ましく思った。

前半はレアルが優勢に試合を運び、レアルの勝利が予想された。やっぱりサンティアゴ・ベルナベウはレアルに追い風を吹かしていると思った。しかし後半、ACミランが盛り返してきた。後半最初の得点はミランだった。自分の周りの観客席は騒然とした。何が起こったんだ?みたいな静けさがあった。自分も起こった現実を信じられなかった。もはや完全に観客に溶け込んでいて、レアルと一蓮托生状態だった。しかもその後、もう一度ミランが得点をした。信じられないような弾丸ロングシュート。ゴールの端っこを突いた。スタジアムの一部であるACミランの応援席だけがワーッと叫んでいた。自分の周りは沈黙。何が起こったのかわからないような、信じられないゴールだった。1-2。なんとなくミランにゴール前に攻め込まれると不安な気持ちになる、そんな状態がこの試合は続いていた。もうホナウジーニョにボールが渡るとかなり不安。ホナウジーニョのプレーは面白くて好きだけど、この日ばかりは憎き敵である。もう必死でレアルの同点を願い、応援をする。そしてついにレアルは同点に追いついた!やったー!会場は一気にレアルの雰囲気になった。その後、曰く付きのゴール(?)が両チームにおいて発生したが結局ノーカウントだった。レアルの攻撃は、明らかにミランのゴールラインを割っていた。自分の席はゴールラインの真っ正面だったので、これは明らかだった。しかしこれはレアルのゴールにはならなかった。起伏のあるものすごいエキサイティングな展開がずっと続いた。この試合に来て本当に良かったと思った。両チームともに得点をしようととにかく激しく攻撃をする。日本で観るサッカーはなかなか得点が入らなくて退屈に感じることも多いのだか、欧州のトップチームのサッカーは違った。休む暇なんかない。時間があっという間に過ぎていく。だが悲しいかな、試合終盤、ミランのパトに文句なしのヘディングを決められてしまい、そのまま試合終了。レアル・マドリッドがホームで初めてACミランに敗北を喫した。悪い意味で、歴史的瞬間に遭遇してしまった。

ただいずれにしても、本場のサッカーの素晴らしさを知った。もっと早くから来れば良かったと何度も思った。近く、レアル・マドリッドとアトレティコ・マドリッドのマドリッドダービーがあるので、是非観に行きたいと思う。ああ、しかし悔しかった…。自分のことのように悔しい!

2009年10月22日木曜日

San Sebastian

ターム間の間に1週間の休みがあるので、その間San Sebastianに行った。ここはバスク地方の都市であり、高級リゾート地としても有名だそうである。スペインに来るまでは勿論その名前を知らなかったが、学生の間での評判がすこぶる良いことから、実際に行ってみた。

スペイン生活も本当にあと2カ月。ここに来て、スペインを知る動きが今更ながら加速してきた。

実際、San Sebastianはとてもきれいな街だった。フランスとの国境に極めて近いためか、建物もフランスっぽい建物が多い気がするし、パンもマドリッドより美味しい。人種的にもマドリッドとは違うようである。フランスの血が混ざっているのだろうか。スペインという国は、本当に各文化の集合体なのだということを改めて感じた。決して一つの文化が一つの国を形成しているわけではない。

この街の特筆すべきことは、海と食べ物だろう。ビーチがあり、丘の上に展望台があって、そこから街を一望することが出来る。犬が楽しそうにビーチを走り回っている。ほとんど客のいない展望台へのケーブルカーから街を眺めると、何と静かなところだろうと思った。ケーブルカーが展望台に着くと、夏にしか営業されていない小さな遊園地があった。『千と千尋の神隠し』の最初のシーンみたいだった。何故かポニーがその遊園地にいて、噴水から出ている水をガブガブ飲んでいた。飲み終わると、とことこと園を出て向こうの方に行ってしまった。彼の行動が何故か面白おかしかった。

San Sebastianのビーチ

展望台から眺めるSan Sebastian

食べ物に関しては、バスク料理である。マドリッドやバルセロナにあるタパスやピンチョスは、全てこのバスク地方から来たものだという。日本人同期におしえてもらったバルに行き、フォアグラやイベリコの角煮を食べた。これは絶品だった。スペインにここまで美味いものがあったとは…!しかも安い。一皿3ユーロ程度である。その他のバルでもピンチョスを食べたが、特に海鮮が美味しかった。中には炙りサーモンもあった。サングリアも適度の甘味があってとても美味かった。食べ物が美味しいスペイン…。ここに来て初めて知るスペイン。

絶品のフォアグラ

絶品の角煮

活気あるバルの店内

ところで、San Sebastianの海は結構波が高いためなのか、たくさんのサーファーがいた。日本ではサーフィンをする時に縄張りがあると聞いたことがあるが、ここではそんなのは一切なさそうだった。砂浜に座ってポケーっと夕暮れの海のサーフィンを見ていた。サーフィンは見ていて何故か飽きなかった。

夕陽と波

今更始まったスペイン探検が加速していく。

2009年10月21日水曜日

告知協力

■「QSワールドMBAツアー」開催概要 (http://www.topmba.com/

内容:世界各地から47校のトップビジネススクールが出展するMBAフェア

日時:115日(木)18時~21時

場所:シェラトン都ホテル(東京都港区)

参加費:当日500円(事前登録は無料)

登録はこちらからhttp://www.topmba.com/


■「QSトップMBAコネクトイベント」開催概要(http://www.connect.topmba.com/

内容:世界各地の11校のトップビジネススクールの採用担当者と11での直接面談

日時:114日(水)

場所:ヒルトン東京(東京都新宿区)

参加:本イベントは招待制となっておりますので、必ず事前にご登録ください。

登録はこちらからhttp://www.connect.topmba.com/

QSトップMBAコネクトイベント」の場合、採用担当者の方との11の直接面談が可能であるため、IE Business Schoolに高い関心がある方にとっては、自分をアピールできる絶好の機会ではないかと思われます。

2009年10月19日月曜日

第4ターム終了

忙しい第4タームがやっと終わった。本当にグループワークが多く、コアタームを凌ぐ分量だった。大部分がファイナンス関係だったのだが、エレクティブということでより実践的になっており、計算だけすればいいわけではなく、考えなければならない箇所が多いので時間がかかる。

特にAlternative Investmentの授業では、トピックを選択するのが他チームより遅く、最終的に排出権市場についてリサーチをすることとなったものの、Alternative Investmentとしての情報量が他に比べて少ないため、かなりの時間を要した。ところで、このプロジェクトでは、最終的に学校の講堂でプレゼンをするという珍しい機会を持つこととなった。プレゼンは準備が大変であるが、いざ終わってみると爽快な気持ちになるのでとても良い。本当はテストよりも、こうしたプレゼン等のコミュニケーションで、しかも英語できちんとパフォーマンスを残すことが出来る方が、ビジネス上効果的だろう。

で、テストであるが、Financial Reportingのテストは、まるでダメ。日常的にも他科目に時間を使っていたためほとんど勉強しておらず、テスト前もAlternative Investmentのレポートとプレゼン準備で時間を使えず、散々な結果になってしまった。最初は財務分析ということで、自分に精通している分野だと思っていた。しかし蓋を開けてみると、年金会計とかヘッジ会計とか、普段触れることのない箇所での財務諸表の理解の仕方が授業の主たる内容となっていったので、どんどんきつくなっていった。勿論知っておくべきことということは十分認識しているのだが…。

と、アップアップで終わった第4ターム。1週間の休みの後、いよいよ最後のタームである、第5タームが始まる。MBAもいよいよ終盤に来た。

2009年10月9日金曜日

ディナー続き

今週はやることが多い一方で、ディナーに二日連続で行った。

最初は韓国料理屋。ここは韓国人学生が薦める、マドリッドでもかなりおいしい部類に入る店である。この日は韓国人学生の他にも何人かの交換留学生がやってきて、結構な人数になった。食事中、サムスン専務(常務?)兼サムスンスペイン社長がその部下を引き連れてその店にやってきた。このことからもこの店が如何に本場の味を出しているかがわかる。そこにいた2名の韓国人学生は、元々サムスングループに勤めていたこともあって、かなり緊張していたようだった。韓国人学生が上司の前で深々と頭を下げるのを、他の文化の学生達はとても興味深そうに眺めていた。サムスンの王国ぶりを垣間見た。だが、食事が終りかけていた時、我々韓国人以外の学生もサムスンの偉大さを身をもって知ることになるのである。なんと、この社長さん、帰り際に我々(15名くらい)の食事代を全てごちそうしてくれたのである!我々がその後、「サムスン!」の掛け声とともに焼酎で乾杯したことは言うまでもない。誰かが、「次はLGがごちそうしてくれるかな」と言っていた。

次の日は、イタリア料理屋。Business Valuation in Practiceで一緒であったグループでディナーをすることになったのである。チームにイタリア人の女性がいて、彼女がマドリッドのイタリアンレストランに連れて行ってくれた。その他に、タイ人、ドイツ人、インド人、アゼルバイジャン人の学生が参加した。途中、ドイツ人の学生が、彼女に電話をすると言って、席を立った。そこでイタリア人の学生に、イタリアでの彼氏彼女の事情を訊いてみた。基本的に金曜日の夜は、友達と過ごし、土曜日に彼氏や彼女と過ごすのがイタリア風らしい。また、彼氏、彼女は相手の実家に平気で遊びに行き、泊まることも日常茶飯事だそうである。イタリアのリベラルな現状を教えてもらえたことは、とても新鮮だった。

こっちの生活はバルでの立ち飲みばっかりだから、みんなすぐにふらふらとあっちへ行ったりこっちへ行ったりするので、じっくり話すのが難しい。やっぱり、きちんと座って食事をすると、じっくり会話が出来ていいな、と今更ながら改めて認識した。

2009年10月6日火曜日

怒り

今日はたくさんの怒りが自分を覆った一日だった。

まず朝、家賃を引き出そうと銀行へ向かった。スペインでは安全上の問題のため、ATMで引き出せる金額に制限がある。なので銀行の窓口に行かなければならない。これまでは、窓口の人がいつも同じ人だったため、円滑に事は運んだのだが、今日行ってみたら、若い女性が担当をしていた。自分の前には一人おじさんが並んでいた。彼を一人さばくのに10分かかった。途中何度か鍵のかかったドアを開けて中に入り、そして再びカウンターに戻ってくるという動作を二回も繰り返した。一回では済まないのである。挙句の果てに、その小切手か何かを持っていたおじさんは、お金を受け取ることが出来なかったようである。10分かけてこの始末。ここまではいい、もうこんなことは慣れている。自分の番が来ると、お金を引き出したい、と伝えたが、お金を出してくれるわけではなく、カードの引き出し限度額を上げてくれた。これはよい、次からカウンターに並ぶ必要がなくなるし、嫁でも金を引き出すことが出来る。が、実際にその後ATMに行くと、1000€しか引き出すことが出来ない。おかしい、今手続きをしたばかりなのに。さっきの窓口の若い女性のところに行くと、違う人を指差し、あっちの人間に訊いてくれ、とジェスチャーしていた。その指示通り、別の人間のところに行くと、今度は席に座らされた。1800€を引き出したい、と伝えたつもりだったが、何を考えたのか、その行員は先ほど引き上げた上限額2000€を1800€に引き下げる手続きを取った。イラっとした。俺は金を引き出したいんだ。すると行員はATMの方を指差した。ハァ…。ついて来い、といってその行員をATMのところまで連れてきた。相変わらず限度は1000€だった。どう対処したらいいか、その行員に尋ねた。「まず1000€引き出せ」言われるがままに1000€引き出した。「次に800€を引き出せ」ふんふん、なるほど…えっ?ボタンを押していくと、800€を引き出すことが出来た。おいおい、一体何のための1000€の引き出し限度額なのだろうか?これじゃあ泥棒が何回でも引き出し出来てしまうではないか、何のためのセキュリティなんだ?たかだかお金を引き出すためだけに、40分かかった。イカれたスペインのオペレーションだとしても、あまりにも長すぎる。おかげで今日初めて開講した授業に遅刻をした。

不快なことはそれだけに治まらなかった。昨日日曜に日本人同期と共に作成したAlternative Investmentのプロジェクトの提案書、カナダ人のチームメートがネイティブチェックを含めたファイナルドラフトを作成する予定になっていた。が、締め切り1時間前になっても、以前彼から何の連絡もない。状況を訊いてみると、今我々からの提案書を見た、と言っている。謝るのならまだいいが、他のプロジェクトがあったとか、図書館が閉まっていてインターネットがつながらなかったとか、言い訳をしている。いい大人が、そんな子供じみた言い訳をするとはどういうことなんだろうか。おかげで締め切りまでの1時間、大急ぎで日本人同期と共に作業にかかった。この作業は間に合った。

が、驚愕の事実が発覚した。この急いで作成した提案書は無に帰することになったのである。教授から驚くべき言葉が発せられた。「あなたたちの選んだテーマは、既に他のチームが選んでいるから、テーマを変えなさい。」耳を疑った。昨日日曜日、この教授に対し、このテーマで問題ないか、ということを確認し、問題ない旨、きちんとメールをもらっていた。しかしこの教授、私のミステイクだ、と言っておきながら、一方でぶつぶつ言い訳をしている。ブラックベリーを見てみると、驚いたことに授業開始6分前に、その教授からテーマを変える必要があると送られてきている。おまけに一切の謝罪なし。普通、他のチームのテーマと照らし合わせていれば、こんなバカなミスは絶対に起きないはずである。やつは、自分の極めて乏しい記憶力を便りに、無責任な行動をとっていたのだ。自分の発言で、学生が多くの時間を割くことになるとも知らずに。今思い返せば、この教授は本来は学生が選んでいいはずのトピックを、恣意的に誘導しようとしたり、情報を得ることが極めて難しいようなトピックを何も考えずに勧めて来たりと、何か不安定な印象を与える人だった。

IEの教授の質は総じて決して良いとは言えないが、教え方がダメダメなのはもう我慢しようと心に決めていた。決してそれを受け入れたわけではないが、我慢をしようとしていた。中にはいい教授もいたし、そういう人もいればそうでない人もいるだろう、と心に言い聞かせていた。こんなことで怒るのも損した気分がするし。が、今回の教授に至っては、何かを教えるという行為以前の問題で、大人の振る舞いという社会的、そして人間的な側面において、非常に残念なものをみた。

2009年10月5日月曜日

Business Valuation in Practice

この授業、全12回が先日終了した。課題がきつく、誰もがこの授業のことを最も重荷に感じていたと思う。やっと終わってかなりほっとしている。

授業は、スプレッドシートを用いて企業価値を算出するだけでなく、定性的なリスクについて論じ、これを価格にどのように反映させるか、というような現実的な側面についても議論するものである。毎回提出しなければならないレポートも、数字の面よりもどっちかというと現実問題をどう対処するか、という点での説得力を評価しているようである。最後の個人レポートでも、実際のリサーチ会社のレポートに評価を下すものだったが、教授は、数字面を細かくとやかくいうつもりはない、大局的に、賛成か、反対か、を論じなさい、ということを連呼していた。

このようにとても実践的なものなので、有意義な授業なのであるが、教授のスパングリッシュがたまらないし、止まらない。Betaを「べーテ」ともろにスペイン語読みで発音するため、一瞬何についてしゃべっているのかわからなくなる。昔、IEのFinance DepartmentのDirectorだったらしいが、IEもより国際化の道を進む中、これはさすがに厳しいだろう。実務経験も15年以上あるし、ファイナンスの知識も相当豊富であろうことは感じさせるのだが、アウトプットがとにかく下手くそなのである。

重い授業が終わったが、まだ重いのが残っている…。社費派遣の自分はまだいいが、就職活動を始めた学生達はさらに苦しそうである。

2009年10月2日金曜日

本領発揮スペイン

スペインが久々に本領発揮してくれた。水が止まった。

朝、誰もが通勤や通学で忙しい中、水が出ない。汚い話になるが、自分は朝一発目のトイレを済ませた後、タンクにあった水で流すことは出来たものの、その後一切水を使えなかった。丁度今日は授業でプレゼンがある日で、流れ次第では自分もプレゼンをする可能性があったのだが、よりによってそんな日にこんなことが起きるなんて。

ちなみに、天災は一切起こっていない。至って平常な環境下、人々の生命線である水が止まってしまうなんてあり得ない。がそれと同時に、ここはスペインであることを思い出した。後で学校に行ってみると、近くに住んでいる友人の建物でも水が止まったらしい。結構な広域で水が止まったようである。

スペインはれっきとした先進国である。インターネットの遅さ、飲食店やスーパーでのサービスの劣悪さは、今更何ら特段の感情を抱かなくなっていたのだが(要は慣れた)、水が止まったことに対しては久々に怒りが湧いてきた。